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私のヒーロー 青ブラ文芸部|憧れのお姉さん

私のヒーローは、いつも女性だった。本当は「ヒロイン」というみたいだけど、それだとなんか弱い。助けられている私がヒロインなのはわかるけど、あのお姉さんはやっぱり私にとっての「ヒーロー」そのものだった。

最初は、高学年のお姉さん。5つも上だし、身長や服装もまるで違う。本当に華やかに見えたし、お洒落だし、そして、何より大人だった。困ったことがあったら優しく教えてくれて助けてくれた。ウザい男子にも、ビシッと言ってくれた。

次のヒーローは、会社に入ってから。何もかもが学生の頃とは違う。私より3年前に入社した絵梨先輩は、相手の性別や役職であからさまに態度が違う上司も上手くいなしながら、仕事もバリバリやっていた。でも、話しかけにくいオーラとかは全然なくて、いつもさりげなくフォローしてくれた。

会社の飲み会でも女子会でも中心的な存在。だからと言ってやっかまれることもない、理想の先輩だった。

そんな先輩があるとき泣いていた。相手の男がモラハラ気質らしい。私は、何でこんなスゴい先輩がそんな男を好きになるのかわからない。ただ、無性に名前も顔も知らないヤツに腹が立った。私のヒーローになんてことするんだ。

ーー

今、私のヒーローは、お昼寝タイムだ。タオルケットはどこを覆っているのかわからない。「寝相」という言葉の中では表現できないような、ヨガのポーズのような姿勢で眠っている。今日はお祈りの姿勢だろうか。

それでも、起きている彼いわく「ママにわるいことするやつはゆるさない」とのことだ。なんとも頼もしい。

今思えば、6年生のお姉さんも絵梨先輩も、一人の人間だった。ただ、私が見えていないだけで「憧れのお姉さん」にも悩みや苦悩があったのだろう。それでも私は、ときには誰かの憧れのお姉さんになりたいと思うし、誰かのヒーローでありたいとも思う。

憧れのお姉さんたちの背中は、まだ遠いから。

#青ブラ文学部 #憧れのお姉さん

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灯火 @ココロ・カタチ・ヅクル「リ・キュレーター」
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