【Art Report】走泥社再考(菊池寛実記念 智美術館)「前衛的」こそわたしが目指す”アート”と知る
今回は、わたしが勝手に「トライアングル Museum」と呼んでいるオフィス周りにある3ヶ所の美術館。その一つである菊池寛実記念 智美術館の展覧会「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」のアートレポートです。
ちなみに、残りの2つは、大倉集古館と泉屋博古館東京です。
泉屋博古館東京は、こちらのアートレポートで紹介しています。
菊池寛実記念 智美術館ってどんな美術館?
現代陶芸のコレクターであった菊池智(とも)さんが、お父さん寛実さんの作品や智さんが集めていたコレクションを母体に2003年に開館した美術館だそうです。
お父さんの「余光による」想いから美術館の設立に至ったという一文も、想いの強さが際立っていて、感じ入りました。
*HP 「ストーリー」より
ちなみに、今回の企画展のレポートで、朽葉縹さんのコチラのレポートも刺激を受けたので、オススメです!
陶芸との出会い
今回は、絵画や彫刻ではなく、陶芸ということもあり、陶芸に興味を持つようになった経緯についても触れておきたいと思います。
ちなみに、わたしは、「図工」が中学校で「美術」と「技術」に分かれて以来、基本的に技術のほうは好きだが、美術はからっきしという中学生でした。
そんなわけで、焼きを入れる粘土などは好きなのですが、気がつけば、紙粘土なども触ることなくウン十年という状態です。
そんななか、日常生活の延長線上にない「アーティストデート」の一つとして行ったのが、茨城県笠間市の「陶炎祭(ひまつり)」でした。
いつもの通り、行く前にどういうところを見ればいいのか、どんな種類があるのかなどをざっくり頭に入れて、いざ実際の会場へ。
「マグカップに数千円なんて」と、心のどこかで思っていたわたしも、一日の内に何度も飲んでいるスティックカフェオレを飲む時間が、特別な時間に変わりました。
これもまた、好きなものに良いものを使い、選ぶ楽しみがある幸せ、ですね。ちなみに、先日の鬼怒川温泉の帰りのパーキングエリアでも、別な工房の作品を買い足しています。
そんなわけで、よりアートに傾倒した陶芸に触れてみたいということと、オフィスの近くで、かつ「ぐるっとパス」の対象と言うことで、ぜひ行ってみようとなりました。
▽「ぐるっとパスって何?」という方は、便利なサービスなのでぜひチェックです!
走泥社(そうでいしゃ)って?
さて、今回の企画展に戻って、「走泥社」の話です。
走泥社については、今回の企画展のプレスリリースで以下のように語られています。
ちなみに、オブジェ焼きと聞いてときにパッと思い出したのが、中学生の息子が何気なく見ていた歴史(社会)の教科書。縄文時代に、同じようにオブジェに特化した焼き物があり、衝撃を受けました。
なお、流れとしては、戦後の華道を中心に「前衛的」な流れを参考にし、陶芸にも取り入れたとのこと。
そもそも、「前衛的」とはどういう意味なのでしょうか。
既成の秩序に対して、急進的、実験的、戦闘的であるさま。
*コトバンクより
シビれました。そう、コレです!これこそ、わたしが求めるアートの姿勢そのものです!
アカデミックな描き方に反発して、より光や表現技法にチャレンジし続けた印象派。色彩の表現に革命を起こしたマティス。
挙げるとキリがありませんが、正に自分なりの何かを追い続け、挑戦し続けていた方が美術史に名を刻んできた方々ではないでしょうか。
今回の出展作品について
そして、今回の作品で一番印象に残ったのはこの作品でした!
*写真が撮影不可のため、プレスリリースの写真をお借りしています。
美術検定のテキストにも載っている作品です。この釘などの金属を入れ込んで焼きを入れる作品群が一つのコーナーになっていたのですが、全体的に心に迫るものがありました。
また、こちらの作品も印象に残っています。
風や動きなどを表現したいと思っているわたしにとって、この表現に呑まれたのを覚えています。
確かに、風に揺らぐカーテンや、動きのあるポーズや構図で「静物に動きを与える」という試みはどれだけやられていたことかはわたしが語るまでもないのですが、とてつもないエネルギーを感じました。
また、撮影できる作品が多いのもよかったですし、立体物が非常に見やすい配置となっており、立体物の良さを改めて実感した美術館でした。
現在は、修繕工事のため2025年1月17日(金)まで休館中ですが、次回は来年1月からコレクション展が予定されていますよ!
菊池コレクション展
2025年1月18日(土) 〜 5月6日(火)