『怪獣8号』で感じた、人をモノとして見る勿体なさ
最近まで放映していたアニメ、『怪獣8号』は、ご存知でしょうか?
ネタバレになると思うので、まだ見てない人はご注意ください。
怪獣が出現することが当たり前の世界で、怪獣を討伐する防衛隊。その防衛隊を12年も入隊試験を受け続けてようやく入隊した主人公・日比野カフカが活躍していく内容。
カフカは、謎の小型怪獣に寄生(?)されて、自らが最強怪獣の怪獣8号になってしまう。防衛隊に仮入隊した当初は能力を隠していたが、活躍が認められて正式入隊した後の戦闘で、部隊を守るために怪獣の姿を晒してしまう。
ここ2週間ほど、その姿を晒した後の話が続いている(10-12話)が、人と接する上でとても大切なことが表現されている。
それは、人を物として見るか、人として見るか、ということ。
物として見るとは、その人に表面的に貼られたラベルを通して捉え判断するということ。ラベルは、性別、年齢、役職、職業などの役割や分類のことで、怪獣もラベルということになる。
人として見るとは、その人固有の言動や考え方・価値観を捉え判断するということ。カフカは防衛隊に入隊するギリギリの30歳を過ぎているが、「30過ぎのおっさん」として見るのではなく、真っ直ぐに、仲間のために身体を張る人として見るということ。
個人的には30過ぎがおっさんかどうか議論したい気もするが脇に置いて話を進めると、
カフカが怪獣の姿を晒して捕らえられてから、カフカが怪獣なのか、人間なのかで防衛隊が揺れる。
同じ部隊の隊員は、カフカが低パフォーマンスでありながらも諦めずに、自分なりの役立ち方を見出そうともがく姿に惹かれ、一目置くようになっていた。
それなのに、カフカが討伐対象の怪獣であったので、皆一様に衝撃を受ける。欺かれていたこともショックだが、仲間が倒すべき相手だという事実がよりショックを大きくした。
どう対応したら良いか分からずも、怪獣として捕縛する。捕縛したらカフカの命はないかも知れないと思いながら、隊員としての使命・役割に従った。
でも、移送されるまでの数日間で隊員たちは思い直す。これまでのカフカの行動を見ていたから。
不器用だけど真っ直ぐな行動と人柄、自分の嘘を晒し皆に嫌われることと、怪獣として殺されることを覚悟して部隊を救ったその行動と勇気。
それらがカフカを最強の「怪獣」ではなく、日比野カフカという一人の「人」にした。
その後、仲間の隊員たちは各々がそれぞれにカフカを救うために行動し、カフカの頑張りもあって最悪の事態は回避される。(そうでなかったら話しが終わってしまう)
もし仲間がカフカを怪獣としか見ることがなかったら、彼は助からなかっただろう。カフカ自身が呼び込んだ自分に対する認識であるが、その認識を持ち続けた仲間の存在は見逃せない。
最終的に、仲間はカフカのことを人として見た。そして、信じた。怪獣としてではなく、防衛隊の隊員としてでもなく、人としてカフカを信じた。「行動こそが真実」と。
私たちは普段、いろいろなものを分類して認識し、その分類に応じた一般的な特徴を認識に加えている。これは怪獣だと分類し、怪獣だから自分達の敵で、危険だと。分類を見て、行動を見ていない。
この分類に該当するなら、こうあるべきという認識を当てはめて人と向き合うと、相手をあるべき基準を満たしているか、満たしていないかという表面的なジャッジをする。
満たしていれば安心するかもしれないし、「いいね!」と思うかもしれない。満たしていなければ、違和感や懸念などを抱くかもしれないし、「あり得ない!」と思うかもしれない。
でも、それでは真実を見ていない。
カフカは見た目は最強の怪獣であり、最恐の対象だけど、真実は命を賭けて仲間を守る真っ直ぐな存在。
見た目だけで判断する幹部たちは全員がカフカを怪獣として殺す判断をしていた。危うく真実を見誤るところだったが、仲間の進言もあり組織としてギリギリのところでとどまった。
今後は防衛隊の戦力として扱われてどうなるか分からないが、少なくとも人として見る判断が加わったことで防衛隊は強大な戦力を得た。
カフカは怪獣になると顔を含めた全身をコスチュームで覆うように怪獣化するのだけど、私たちが普段接する人たちも何らかのコスチュームを着ていると思うと良いのだろうと思う。
会社員というコスチューム、課長というコスチューム、役員や社長というコスチューム。父母、妻夫、彼氏彼女、営業、お客様。コスチュームは無数にあるし、その場その場で着替えている。
そういう見方をするだけで、その人の真実に一歩近づくきっかけになる。「生身のこの人はどんな人だろう」と。そして、その人の持ち味を活かすことに繋がる可能性がある。
改めて、相手の人を人として見ることは大切だと、怪獣8号を見て思ったのでした。
カフカの上司の隊長の言葉、
「信頼に足る隊員かどうか判断する決め手はなんなのか。それは心だと、私は信じます」
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