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ココ デハナイ ドコカep.5
バスを降りて、一言目が「さぶっ」だった。
梅雨明け後の7月20日、夏休みの地として選んだ場所は上高地で、避暑にはもってこいのリゾートと思って気張って足を運んだものの、到着したホテルは山の中にあった。
松本駅から送迎バスが出ていると聞いて、乗り込むこと1時間半。途中幾度も線路やダムを横目に、川を右に左にと折れてゆくのを眺めていたが、トンネルを過ぎたところで、ぐいぐいと険しい坂道を登り、対向車とのす
ココ デハナイ ドコカep.4
6月半ば、「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」ではじまる平家物語の巻七『竹生嶋詣』の「あれこそ聞こえ候ふ 竹生嶋にて候へ」とある滋賀県琵琶湖に浮かぶ竹生島へ行く機会がありました。
日本最大の湖、琵琶湖は湖を中心に湖北、湖南等7つのエリアに分けられて呼ばれますが、これまで彦根城のある湖東、近江八幡にしか行ったことがなく、長浜市の位置する湖北は初めての訪問です。
竹生島は、長浜市の沖合6キロに
ココ デハナイ ドコカep.3
別れ際の涙、そしてハグ。
空港や駅でのひとコマではない。
雨に濡れた木立のなかにひっそりと佇む歴史資料館の前で、東南アジアからの留学生たちと、民宿先として彼らを受け入れたホストファミリーが別れを惜しんでいた。
人と人との交流に、年齢も性別も国籍も関係ないと思えた光景だった。
とある国際大学の留学生6人を、私が関わっていた地方の民宿先に紹介して、彼らの滞在中のアテンドを行う機会があった。
私自
イツカ キミハ イッタep.99
2024年の桜の開花は想像していたより遅く、4月5日現在、ようやく首都圏で桜が見頃となった。
3/29〜31にかけて、「しまなみ海道さくらサイクリングツアー」を企画した私にとっては、渦潮と桜山の両方を眺めながらのサイクリングは出来なかったものの、50kmを走破できた体験は格別なものとなった。
普段より自転車に乗る機会は多く、専用の真っ赤なヘルメットまで持ってはいるが、せいぜい近所をポタリングす
イツカ キミハ イッタep.97
電話が鳴り止むことはないコールセンターの一室。
ヘッドセットを付けてモニター画面を眺めながら、スクリプトどおりに顧客を案内してゆく。
回答に窮するような質問を受けると、チーフアドバイザーにヘルプを求める。保留音が1分を過ぎると、モニター右上のランプが黄色の明滅を繰り返す。焦る。壁の時計を見る。その隣に表示される待ち呼の数。
春先、特に申込みや問合せが多くなるコールセンターに、20代後半、勤務してい
イツカ キミハ イッタep.93
冬の時期、電車で移動する際には、僅かな時間でもやわらかな陽ざしが降り注ぐ窓際に座る。黒髪に日光があたり、徐々に頭のてっぺんが熱を帯びてくると、じんわりと全身まで温んでくるからだ。
寒さからあまり出歩かないでいると、太陽光線を浴びることで体内で生成されるビタミンDが不足する、という切実な理由もある。年齢を重ねると、行動の一つひとつに、多くの効果を求めがちだ。
2月9日も、山手線車内の西陽が差し込
イツカ キミハ イッタep.92
旅は行く前が、いちばん楽しい。
いつ行くか、どう行くか、どこへ泊まるか。
なにを食べるか、なにをするか、なに見るか。
ワクワクしながら、計画を立てる。予定は未定だよ!だなんて、カッコつけた言葉など要らない。それが一人旅なら、そして旅先に仕事の約束があるなら、尚更…。
今年初のフライトは、長崎でした。
一言で長崎と言っても、島原半島と五島列島。かなり遠い。
しかも、今回は1人での移動のため、全て公