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コロ・エネルギー



久々にマクドナルドのグラコロを食べた。
実に10年以上ぶりだと思う。

月見マック、月見マフィンのような季節イベントに合わせた商品と比べるとグラコロは販売スケジュールが直感的に認識しにくいので、いつの間にか始まっていて、いつの間にか終売しているという事が多かった。
あまりファストフードで腹を満たす機会が無いというのも大きいか。


午後3時、その日初めて口にした食事である『10年ぶりのグラコロ』は本当に美味だった。
最高のスパイスと呼ばれる空腹を通り越して、飢餓に片足を突っ込んでいた気もする。


「いつの間にか終わってた」「ま、来年でいいか」を10年繰り返したのだから、かつての味などはとうに忘れていたが、「こういう味だったな」という気持ちで満たされる。
というか、グラコロという商品そのものが『そういう味』を目指して作られている気がする。
決して100点満点以上の抜群に飛び抜けた美味さという訳ではないが、ノスタルジーとして刻み込まれた『こういう味』『そういう味』として着地するような味。

正直、グラコロは情報思い出を食う食べ物だと思う。




マクドナルドが値上げを行う報道が出る度、インターネット上では「マックには2度と行かない」と語る論客が発生する。
本気で言ってるなら凄まじい覚悟だと思う。
吐いた唾飲まんといてくださいよ。

値上げやメニュー変更に文句を垂れるくらいならば多くの人が行うものだが、「2度と行かない」は縛りが重すぎるだろ。
三輪霞みわかすみかゴン=フリークスしかそんな事はできないよ。

呪術廻戦・三輪霞
©︎芥見下々・集英社


自分はほとんどマックに行かない方だとは思うが、そこまでの覚悟を決める事ができない。
いや、別に普段は行かなくても困らないけど、2度と行けないとなると困るでしょ。
あまりにも自縄自縛じじょうじばくすぎる。生き辛いだろ。

それを行えるのは相当に覚悟がある人間か、簡単に前言を撤回できる人間か、自分で言った事を明日には忘れている人間かのどれかなのだと思う。

それか、「2度と行かない」と語った口で食べるマックほど美味しくなるものなのかもしれない。
自分は非喫煙者なので真の共感はできないが、禁煙を破って吸うタバコは美味いと聞く。
その感じなのかもしれない。

そうした禁を破る味わいは背徳感によって美味しさが倍増するのだとは思うが、個人的にはそのマックから『己が吐いた唾の味』もしそうで、羨ましいとは思えない。

破るために作る縛りは縛りじゃない。
やっぱり効力が薄いって。



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