クワイの水耕栽培
前回
前回、クワイをプラ舟ビオトープで育てると1年で根詰まりを起こすほどに成長するという話をしたが、実は水耕栽培でコンパクトに育てる事もできる。
通常は土に深く根を張れば人の顔よりも大きな葉が育つが、水耕栽培では握り拳ほどのサイズの葉に落ち着く。
水田に自生するオモダカとそう変わらない草体だ。
クワイは一株から大小様々なサイズの塊茎を多数残すので、保存中に大型の塊茎が腐ってしまった際のバックアップとして小型の塊茎を適当な容器内に沈めておくと絶やす心配が減る。
実際、自分はクワイ栽培一年目でその失敗をしてしまったが、ビオトープ底に沈んでいた小型の塊茎から芽生えたいくつもの苗によって絶やす事なく栽培を続ける事ができた。
過密な水耕栽培を行うとあっという間に容器の底に根が張り巡らされる。
健全な成長を目的とした場合は好ましくない状態だが、それぞれの苗が支え無しでも自立するようになるため、バックアップ及びコンパクトな栽培としては丁度良い。
勿論、土中に根を張り巡らせた状態よりも塊茎のサイズは小さくなってしまう。
しかしこのサイズでも発芽能力を有しているので、この容器を春まで水を絶やさないように管理すれば再び冒頭に掲載した画像のように苗が育つ。
また、凍結すると塊茎が死んでしまうので、冬場は水量を多めにしておくと良い。
クワイは春になると肥大化した塊茎に蓄えた養分を使って芽を伸ばし、葉が水上に出てからは急速に成長する。
クワイにとっては水上葉を展開してからが本番という事だ。
水上葉を形成する他の水草と同じように、一刻も早く水上で葉を展開するための戦略なのだと思われるが、水耕栽培にて育った小さな塊茎は養分が少ない分、この能力が弱い。
前述のように既に昨年分の根が張り巡らされた環境では新たに発芽した株も自立しやすいが、水以外何も無い容器にて水耕栽培を行う場合は小さな苗が自立できず横倒しになりやすい。
度々水没してしまうような環境では成長もかなり遅くなり最悪の場合枯れてしまう傾向が見られる。
その場合は葉が育つまで予め水量を抑えた管理をするか、ある程度育つまで何らかの支えを施すべきだろう。
春の間だけでもプリンカップや植木鉢等に土を入れてしっかりと根を張らせる事でも対策ができる。
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