セアカオサムシ羽化後日談
多忙、出先、撮影カメラ未携帯の3連コンボという条件なので、本編であるセアカオサムシ羽化観察の詳細記事及びコメント返信は少し後になりそうだ。
一応、Twitterでは成功の報告をしている。
これでようやく、気兼ねなく外泊できる。
ちなみに、安眠する事ができたかと言うと、全然できなかった。
単純に普段の思考からセアカオサムシの羽化の事が消えただけで、それを見届けた直後は確かに安堵感があったが、次の研究6件+別件のセアカオサムシへの実験アイデアを絞り出そうとしていると、いつの間にか気を失っていて朝を迎えている。本当に普段通りの朝だった。
しかし退屈をする事が無いため、苦しみよりも楽しみの方が上回っている。
セアカオサムシの羽化を迎えた昨日は、14時からポケモンGOのイベントが開催されていた。全国どこでも参加できる。
それに参加しつつ、1時間おきに蛹の様子を見に帰ったが、イベントが始まるまで特に動きはなかった。
経験上、今にも羽化するであろう色付き方の蛹を見て、「よりによってこの日に…」と思ってしまっていたが、平日の仕事中に羽化が始まるよりも遥かに運が良かったと言わざるを得ない。
本当に運に助けられた。
ベッド脇の可動テーブルに蛹の入った容器と有り合わせの撮影機材等を置き、蛹の前で食事を摂りながらイベント直前まで、以下のようなメモを書いていた。
12:02 2秒おきに後脚先端を2度痙攣させる動きが始まる。
12:04 蛹内部で腹部先端が動いている様子が見える。人が呼吸を行う際の腹部の膨張と収縮運動に近い。
12:51 後脚及び腹部先端が絶え間なく動き始める。
13:48 体をくねらせ、脚全体をまとめて動かす行動を確認。
撮影当日は深夜から早朝にかけて小刻みに目覚ましで起床していた事もあり、撮影時間には数十分ほど気絶していた。
しかし、かつてリシリノマックレイセアカオサムシの羽化を観察した撮影担当者N氏の記録、「寝袋とダンボール」というタイトルの手記に記されていたほどの苦労ではなかった。彼は2日間はまともに眠っておらず、卓上にはリポビタンDが2.3本は転がっていた。
それが掲載されている『リシリノマックレイセアカオサムシ-さいはての島の小さな奇跡-』を、20年近く前の小学生の頃に出版されたその本を何度も何度も読み返し、特に手記は穴が開くほどに読んだが、本をあまり読まない自分があれほどのめり込んでしまった読み物はそうそう無かったように思える。
自分は公式記録のための撮影というよりも単なる趣味の延長でしかないが、人類の誰も見る事ができなかった凄まじい瞬間を目の当たりにしたN氏の苦しみと喜びをほんの少しだけ追体験する事ができた。
他セアカオサムシ記事は #セアカオサムシ よりご覧ください。