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プラ舟湿地帯ビオトープ大幅リフォーム
以前に作ったプラ舟ビオトープには庭に訪れたヌマガエルやアマガエルが棲みつくようになった。
自宅庭において、地上に連なる形で常に水が張っている場所はほとんど存在しないため、この場所は本当に貴重なのだろう。
その他にはユスリカ幼虫やカゲロウ等も発生している。
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そんなビオトープだが、大幅にリフォームを行う事にした。
まずは、あえて左側に傾けて設置した容器を平坦に直す。
これはプラ舟周辺右側の土を掘り下げつつそちらに重さを掛ける事で比較的楽に終える事ができた。
設置当初は容器を傾ける事で地上から水中にかけてなだらかな傾斜を作ったつもりだったが、水量が減ってしまうし、雨後にはどうしても土が崩れてしまう。
今回は近場にあったプランターを使って土留めを行いつつ、地元市で採集した水草を使ってさらに『湿地帯ビオトープ』らしくしていく。
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土は私有休耕田の物を使いつつ、嵩増しにこのビオトープ周辺の物も入れた。
これで平常時に簡単に土が水底へ流れていく事は無くなったが、ある程度植物の根が張らないと土留めや鑑賞の目的が果たされない。
次に植物を入れていく。
同日、このビオトープ改修を行う直前に市内で採集してきた植物を植え付ける。
採集の際には良好な湿地帯にのみ生息する美麗種オオサカアオゴミムシと遭遇した。
この虫が初めて記録された大阪府では湿地環境の悪化により絶滅してしまったとされている。
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話を戻して、水草を植えた様子がこちら。
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まずはキクモ。
この水草が市内に生息しているとは思わなかった。まさかビオトープ改修直前にこれが見つかるとは…。
後々調べてみると複数箇所で記録があるようだが、それでもごく僅かでかなり希少な存在だ。
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ハート型の浮き草はイチョウウキゴケ。
キクモは水中と水上で大きく姿を変えるため、ビオトープの華となる。特に水上葉では菊らしさに拍車がかかる。
個人的にこの水草には昔から憧れを持っており、本格的に湿地帯を歩くようになった昨年にようやく県内産を発見したのだが、毎年のように通っていた市内のポイントで突然キクモに出会えた事には心の底から驚いた。
また、イチョウウキゴケは今回採集する事ができなかったが、昨年に私有休耕田の土から発生したものが増えたのでここにも移植した。
イチョウウキゴケも陸地ではその姿を変え、地表にピタリと張り付く。軽い土留めにもなるのだろうか。
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苔らしさが際立つ。
さらには七草でお馴染みのセリ。
このビオトープで育ってくれたのならば、生物多様性の恵みとして少し食べてみるのも面白いかもしれない。
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追加でヒメミズワラビ、コナギ、イボクサ等。
ちなみに今回採集した水草達は昨年から連絡を取っている農家の方から許可を得て水路及び所有水田内で採らせていただいた。
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個人的にここまで何時間でも見ていられた
自作ビオトープは初めてかもしれない。
プランターや周辺には今後さらに植物を増やす予定。
自分は子供の頃から『地元県及び地元市内に存在する植物を使ったビオトープ』を趣味としていた…というか他の県の動植物に興味を持つのは地元を極めてからと考えていたのだが、エコトーン付きビオトープにおいてそれを行うのは初めてだった。
前回は多少失敗しても経験値獲得ができると意気込んで突発的にプラ舟を埋めたが、今回は今年発売した書籍の
『自宅で湿地帯ビオトープ!~生物多様性を守る水辺づくり』中島淳 ・大童澄瞳
を大幅に参考にした。
この本では周辺地域や同一水系の動植物を利用したビオトープの利点やそうでない場合のデメリット等が分かりやすく記されている。
今後日本中でこの本を基にした規範及び思想のビオトープが多く作られていくと考えると、国内の生態系保全への希望が少しばかり見えてくる。
国内種国外種問わず外来である動植物を使用したビオトープにて起こった惨劇の結果が、地元市内でも数多く見られる特定外来生物の蔓延る現在の水辺であるからだ。
ビオトープに興味がある人には、是非一読していただきたい。
また、昨日に今回のビオトープに関する投稿を行なった所、著者である両氏から反応をいただけた。
なんとも感慨深く、庭のビオトープを眺める際の肴になる。
たった今作ったビオトープ。
— トモロウ (@Day_after___) August 18, 2023
私有休耕田の土と地元市水路の植物だけでセッティング。
まさか地元市でキクモに出会える日が来るとは…あまりにも嬉しい誤算。 pic.twitter.com/P6Xcs01Mi4
一ヶ月後の様子
数株のキクモやクログワイ等を採取して植えたが、凄まじい勢いで成長した事で理想的なエコトーンが形成されている。
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追記
記事の更新後、著者であるオイカワ丸氏から当記事及び当ビオトープに対する紹介と激励をいただいた。恐縮すぎる…。
特に2つ目のコメントに関してはビオトープを作る上で絶対に守らなくてはいけないポイントなので、こちらでも紹介をさせていただく。
これはこだわりの湿地帯ビオトープ作成記事!地域系統の植物の入手方法や選び方なども参考になります。今後の湿地帯化が楽しみです。 https://t.co/i0Imyl5Rvr
— オイカワ丸 (@oikawamaru) August 19, 2023
記事中「国内種国外種問わず外来である動植物を使用したビオトープにて起こった惨劇の結果」、例えば特定外来生物ブラジルチドメグサも某県でビオトープ用に植栽されたのが始めとされています。「自宅で湿地帯ビオトープ!」でも書きましたが、購入した生物をいれる際は絶対に逸出させてはいけません。
— オイカワ丸 (@oikawamaru) August 19, 2023
特大深型トロ舟にエコトーンを造成した際の記事はこちら。
その他、他のビオトープ観察記事に関しては以下の記事及び #トモロウ式ビオトープ のタグを参照にしていただきたい。