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2023/05/16採集記録


2023/05/16
とある湿地帯に向かった。

希少生物の類は確認されていないポイントだが、残業終わりの残り少ない体力では遠方に向かう事ができなかったため、帰路ついでに立ち寄る事にした。


まず出会ったのはミカドガガンボ。
国内最大種のガガンボで、脚を広げた大きさは8cm〜9cm。
握り拳よりも大きい。

翅をつまむと暴れるが、その衝撃はちょっとしたトンボくらいの力がある。
ある程度良好な湿地にしか生息しないので、この環境のポテンシャルがよく分かる。

ちなみに、この虫の幼虫は水中に住み、体を伸ばせば10cmにもなる巨大な芋虫状の生物で、ガサガサをしていると時折捕獲できる。
過去に飼育した事があるが、餌の腐葉土をあっという間に食べ尽くしてしまうほどの大食漢なので、飼育ケース内はいつのまにか泥と葉脈だけとなっている場合も多い。

ストレスを感じ、体を縮めた
ミカドガガンボ幼虫


次に出会ったのはお馴染みのコキベリアオゴミムシで、腹部先端には泥が付いていた。
卵を包むマッドセル(古い文献では土室、泥壺との表記)を作り、産卵をしようとしていた所を邪魔してしまったようだ。



その次はなんと美麗種オオサカアオゴミムシに出会えた。
かつてこのポイントに拘って1ヶ月近く通いつめ、ようやく1ペアを捕獲できたほどに生息密度が低い生物だ。
こちらもある程度良好な湿地にしか生息しないため、ゴミムシ採集においての環境指標となる。

ただし、1ヶ月通った翌年には数百メートル離れた所でそれなりの個体数を確認したため、拘っていたポイントの生息密度が低かっただけのようだ。
おかげでこの虫の生息する環境の傾向は掴めたが…。

ちなみに、模式産地である大阪では絶滅した可能性が高いとされている。そもそも関東地方の方が多いとも聞く。


過去には2年ほど飼育繁殖を行ったが、それなりに難易度は高かった記憶がある。
まずはコキベリアオゴミムシやアオゴミムシ等の繁殖を経験してからの挑戦がちょうど良いと感じる。

オオサカアオゴミムシ成虫と
卵を包むマッドセル
孵化直後のオオサカアオゴミムシ1齢幼虫
オオサカアオゴミムシ成虫ペア
上がオスで下がメス
ゲンゴロウ等のようにオスは交尾の際に
メスの背中に捕まりやすいように
前脚の跗節が幅広くなっている。
吸着能力も高く、壁を登る事もある。
オオサカアオゴミムシ2齢幼虫と
脱皮殻
オオサカアオゴミムシ終齢(3齢)幼虫
脱皮直後のオオサカアオゴミムシ終齢幼虫
オオサカアオゴミムシ2齢幼虫

最後はヤブキリ幼虫に出会えた。

2匹のヤブキリ幼虫


少し前に現れ始めたと思っていたが、もうここまで育っているとは…夏が来るのはおそらくあっという間だろう。

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