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湿地帯ビオトープ経過報告2023/08/26



地元市産水草及び私有休耕田の土のみを使用した湿地帯ビオトープは少しずつアップデートを重ねている。

特に水際の草を増やした。

2023/08/18
設置初日
2023/08/18
設置初日
ヒメミズワラビ等を植える
2023/08/25
湿性カヤツリグサ系等を増やす。
2023/08/25
エコトーン部分に潜むヌマガエル。

ヌマガエルも毎日のように水際で見かける。
複数個体がいるようだが、その全てが付近の水田で発生した個体が自力で訪れたというビオトープにおける理想的な定着方式だ。



プランターによる土留めが届かない部分には瓦の破片を使い、緩やかな傾斜となるように土留めを行った。
周辺に植物を植えれば根を張る事でさらに土留め性能が上がるだろう。
これを行うか否かで土の流出量は大幅に変わると思われる。



クログワイらしき水草

あまり見かけない直線状の水草を見つけて数日が経つが、これはもしかするとクログワイの可能性が高いのかもしれないと感じ始めた。というか特徴から見てそうなのだろう。
子供の頃から国産水草が好きだったとはいえ、本当に誰でも知っている種類ばかりしか見てこなかったので日々勉強をしている。

クログワイは一度水田に入ると駆除が難しい雑草として知られるが、庭のプラ舟ビオトープのような極々限られた空間ならば制御できると思われる。

クログワイの葉先で夜間休息をするアオモンイトトンボ



局所的に密集する
夥しい数のオカモノアラガイ
オカモノアラガイ

陸貝の一種オカモノアラガイ。かねてより探し続けてきた地元市産の本種にようやく出会う事ができた。
恐らくは広域分布であると思われるが、この個体群は自宅近辺100メートル以内の極々限られた範囲の草地にのみ集中して確認された。
そこまで近い場所ですらまだ未開拓な部分が多い事にワクワクしてくる。

本種がすぐに市内全域から絶滅する可能性は低いだろうが、自宅近辺の個体群は開発によって少しずつ生息域が狭まっている事が明らかだったため、自宅のビオトープ付近に少しだけ移植実験をする事にした。
そもそも開発が行われる以前…もっと言えば100年前は庭も生息範囲の一つであった可能性が非常に高い。その事は国土地理院の地図を見ると分かる。

本来は陸貝のように簡単に庭から逸出してしまう生物の移植は専門家の指導の下で慎重に判断すべきであり、これはビオトープに移植した生物全般においても同じ事が言える。

基本的には陸を移動できる生物を安易に放し飼いのような方式で管理するべきではなく、水生生物も降雨時の流出リスクを完全に抑えられなければ行わない、もしくは逸出しても問題が起こりにくい『近辺生息の同一水系産』をビオトープに使用すべきだろう。
何度か紹介しているビオトープの教科書『自宅で湿地帯ビオトープ!~生物多様性を守る水辺づくり』でもそういった旨が記されている。
というより、これこそが本書がこの世に作られた理由であり、この世に広まるべきポイントだと考える。



ちなみに、そもそも今回行うビオトープへのオカモノアラガイ移植が成功するとは限らない。
すでに他の陸生貝類、ウスカワマイマイ、コハクオナジマイマイ、ミスジマイマイ、オカチョウジガイ、チャコウラナメクジ等が生息しており、陸貝にとっての環境の良さは担保されているが、逆に言えば競合相手となる存在であるためだ。
しかしなんとか域外保全(というより過去の生息地への復帰?)を成功させたい。
そのためにはビオトープの増築が必要となる。

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