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オオミズスマシの蛹


飼育中のオオミズスマシの繭と蛹を観察した。
この容器はしっかりと蓋をしないままエアコンの風が当たる場所に置いてしまっていたので床材がかなり乾燥しているが、蛹は無事なようだ。
野外では長時間の雨または日光に晒されたりする場所でも繭を作って羽化に至るので、生命力自体は非常に強いのかもしれない。

オオミズスマシの繭

オオミズスマシは上陸後、周辺の土などを集めて繭を作る。
飼育下ではピートモスが便利だが、野外では泥や苔などを使っているのだろう。
以前に本種を飼育した際には、飼育容器であった発泡スチロールの劣化した部分のみを集めて繭にしている様子を観察した事もある。

オオミズスマシの繭
オオミズスマシの繭と蛹



オオミズスマシの蛹。

蛹を取り出す。
蛹の背面には微毛があり、体が直接土に触れないようにしつつ蛹を安定させる役割を持つ。
これを見ると同様の構造を持つオサムシやゲンゴロウなどと同じオサムシ亜目の昆虫なのだという事をより強く実感してしまう。

蛹化直後のナガヒョウタンゴミムシ蛹
ナガヒョウタンゴミムシ蛹・背面の微毛


そしてオオミズスマシの蛹は他種甲虫のそれと同じように、眼が黒く色付いていた。
羽化が近い証拠だ。

複眼が色付いた蛹

ミズスマシ類の複眼は水上と水中の両方を同時に見る事ができるように上下に仕切られており、4つの眼を持つように見える。

羽化後には全身が黒い金属光沢に染まっていく上に忙しなく動き続けるため、じっくりとその眼を観察できる機会が減ってしまうが、蛹の状態であればその異形っぷりを余す事なく観察できる。
ミズスマシには進化の美しさが詰まっていると思う。


ミズスマシと同じように水面付近を主な活動場所とするヨツメウオも上下に仕切られた眼を持ち、やはり同様に水面と水中を見渡せる。
いわゆる収斂進化の一例と言えるのだろうか。
その進化に費やされた年月や途方もない確率の事を考えると、小さな悩みなどが掻き消えてしまう気分になる。



次回

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