地表徘徊性肉食甲虫にハエ蛹及び白サシを与える際の注意点
2023/05/31
羽化したセアカオサムシに餌を与える。
基本的に動物質のものはなんでも食べるが、今は自家養殖したハエの蛹の在庫がそれなりにあるため、それを与えた。
鱗翅目幼虫、赤虫やミルワーム等も好んで食べる。
ハエの蛹は冷蔵により半年以上生きたまま保管できるため、非常に重宝している。
セアカオサムシが野外においてハエ囲蛹及びウジ(白サシ)に遭遇する機会自体はあると思われるが、比較的稀なケースだろう。どちらも頑丈な外皮を持つために、捕食が成功しにくい。
ウジが発生する動物遺体が頻繁に供給される環境ではない事もあり、専食対象ではないと思われる。
リシリノマックレイセアカオサムシの繁殖記録が掲載されている『リシリノマックレイセアカオサムシ-さいはての島の小さな奇跡-』によれば、特にリシリノマックレイ幼虫はウジムシの頑丈な外皮に歯が立たず、捕食に失敗して餓死した個体も確認されている。
一時的に飢えを凌ぐ餌として利用する場合においても、外皮に傷をつけて体液を出した状態で与える事が推奨されている。
(リシリノマックレイ飼育においてはとある甲虫類を与えた飼育での羽化に成功していた)
ハエの繭(囲蛹)はかなり頑丈なので、餌として与える場合は一部を損壊しなければセアカオサムシやゴミムシ等の小型肉食甲虫は捕食を行いにくい。
ハエ囲蛹はウジムシの外皮がそのまま硬化して繭となって作られており、囲蛹殻には培地である腐肉の匂いが付着している。
そのため、傷をつけずとも捕食者が興味を示す様子が見られた。
マイマイカブリやクロナガオサムシ等の大型肉食甲虫ならば無傷の囲蛹をそのまま噛み砕いて食べる事があるが、ハエが羽化するまで放置される場面も多く見られる。
基本は少数の囲蛹を傷つけて与える事が望ましいだろう。
また、自家養殖を行って集めたハエ囲蛹は内部に寄生蜂が寄生している事も多いため、放置された囲蛹から無数のそれらが飛び立ってしまうケースも考えられる。
寄生蜂は体長数ミリと非常に小さく、容易に飼育容器外へ逸出する。
特に室内に放たれれば厄介であるため、餌として使用する際に一度囲蛹を損壊する手順は寄生の有無の確認を行う事も兼ねている。
寄生蜂蛹も餌として使用でき、小型肉食甲虫類は好んで捕食を行うため、羽化前に処理する事を基本としている。
大型肉食甲虫はこれらの蛹を捕食しても取りこぼす事が多く、それらが羽化してしまう可能性も高い。
やはり予め寄生蜂蛹を確認して、それを小型肉食甲虫に与える事が望ましいだろう。
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