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ゆっくり流れていく。

バスが来るのを待っている。
今は太陽が一番高く昇る最も暑い時間である。

バスは長く続く道の、
ずっと、
ずっと、
向こうから来るはず。

汗が出てきた。
日差しが強く暑いと感じている。

リゾートホテルのイラストが描かれた看板は、潮風のせいで錆びて茶色くなっている。

となりには、麦わら帽子をかぶった皺だらけのおじさんがいる。
おじさんの目は乾いたように光る。

「どこまで行くんだい?」と不意におじさんが聞いてくるから、
僕は慌ててしまって、「ずっと、遠くだよ。ずっとずっと遠ければ遠いほどいいんだよ。とにかくずっと遠くまで行くんだよ」
と少し早口になりながら答えてしまっていた。
きっと慌てているかのように思われただろうから恥ずかしい。
「そうか。なるほど。」
とおじさんは言い、煙草に火をつけた。
「もし十字路で迷ったら、まっすぐを選ぶんだ。」
おじさんは道のずっと向こうを指さしている。
ごつごつとした指だと思った。

「長い道のりで、迷うことがあったら、まっすぐを選べばいいんだ。まあ、どうしたって、ゆっくり流れていく。慌てることはない。慌てずに進めばいいんだよ。遠回りしたっていいんだよ。だけど常にまっすぐを選ぶことだ。右や左ではないよ、まっすぐだよ。」

おじさんの額からは汗が多く出て、地面にぽたぽた落ちている。
力強く指はまだまっすぐずっと向こうの方を指している。
いろいろ話をしてみたかったが、話せないでした。
特におじさんはいままでまっすぐを選んできたのか?などを。

僕は最後に「うん、わかった。ありがとう。」と言い、
ずっと、また、バスを待っていた。





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