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2023年はこの音楽たちと出会えて幸せでした

2023年はTwitterがXに変わっても未だにポストではなくツイートと言ってしまうし、普通に暑くても東京よりはマシだったはずの北海道で関東超えの最高気温を記録した日にライジングサンが開催され、音楽シーンを取り巻く環境が激変した。
夏がどんどん危険な暑さになってきている。

私にとっては今年のライジングが初参加だった。地元民ながらアクセスの悪さからずっと行くのを躊躇ってきたのだけど、これからは毎年行きたいと思った。ただ1日目の帰りに終電が間に合わずタクシーも捕まらず、0時を回っても麻生駅から動けなかった。まだ1日目なのにここで日の出を迎えるかと思った。意を決して歩き始めたらものの10分でタクシーが捕まり深夜1時45分にはホテルに着くことができた。帰宅難民になったのも人生初だった。
フェスの時はタクシーとバスを大幅に増やしてほしいです。

そして私の好きなバンドに今年は沢山の試練があった。
声帯ポリープでライブ活動休止、
メンバーの2人同時脱退、
若くして亡くなったギタリスト。
悲しいニュースが多かった。

それでも3組ともバンドを続けるという選択をしてくれた。
道半ばでは終わりにしないと強い覚悟を持って
今日まで歩いてきてくれた。
挫折を経験したバンドも、
順調そうに進んできたバンドも、
どんな形であれ続いていくことは尊い。

ライブが最高な1年でもあった。
特にライジングで深夜1:40にレジャーシートの上で眠い目をこすりながら見たVaundyは圧巻だった。恋風邪にのせてのイントロが流れた瞬間全身がビリビリと痺れた。アルバムreplicaでは声の出し方から曲の雰囲気からほんとに同じ人が歌ってる?ってくらい音楽の引き出しの多さに脱帽した。
ただ今年リリースした曲のことを書こうとしたんだけど、
そんなbitterな話→失恋ソングだね、私が初めて失恋した時はほろ苦いどころか劇薬みたいな味がしたよ
みたいな近所の川より浅い感想しか書けなかったので今回はやめました。
来年は立ってしっかり見たいです。ワンマンにも行きたい。

前置きがなっがい。出会えてよかった音楽は山ほどあるのだけど、その中でも深く書けそうな5曲を厳選して紹介します!!

Phoenix/sumika


LINE MUSICで今年一番聴いたアーティストはsumika。
今年2月、隼ちゃんが34歳で他界した。
あまりに早すぎる突然のお別れだった。

不死鳥という意味をもつタイトルのこの曲は
片岡さん、荒井さん、おがりんで演奏する初めての音楽となり、3人でも活動を続ける決意を歌った曲。

愛の情に手伸ばして眠れない夜を蹴飛ばして
いかないで まだ いかないで
大丈夫ちゃんと僕ら泣ける
真の情と向き合って呪われた朝も手繋いで
いかないか もう 行かないか
僕らならもう歩けるだろう


私はハマスタでの10周年ライブを生で見ることはできなかったのだけど、WOWOWで4時間に渡る映像を4周は見返した。

この歌詞はアンコール後のロングMCで荒井さんが語った言葉とリンクしていた。

「10周年という節目、本当に衝撃的な悲しい出来事があって、この10年全部悲しいことばっかりだったんじゃないかなとか、そんなことを思ったりしてさ、もう立ち上がれないかなという気分になって。
でも少しずつ時間が経って、いろいろ思い出したりわかったりしたことがあって。やっぱりこの10年間は悲しいことばかりじゃなくて、すごく楽しいことがあったし、幸せなことがあったんだよ。

生きるならバカみたいに笑って生きていきたいし、
大切な人にも笑っててほしい。
悲しむために泣くためにいきるなんて、
そんなの辛いじゃん?

でもさ、お前らの人生もっと辛いこともあるんだよ。残念だけど。
眠る前に無性に叫びたくなったり、
朝起きたときにこの世界おかしくね?
って思ったり。
それが生きてるってことだからさ。

でもそんなときは、俺達のことを思い出してほしい。ここでお前らを笑わせるからさ、またここに戻ってきてほしい。

ここっていうのはハマスタではない。横浜でもないし、ライブ会場ってわけでもない。

俺達の住処でまた会おうぜ!!」

私はずっと「生きていれば辛いことの方が多い」
という言葉が嫌いだった。聞くたびに幸せなことのほうが少ないなら生きていたくなくなるんですけどってこの言葉を聞くたびに思っていた。

だけど荒井さんの言葉を聞いて考え方が変わった。
とんでもなく悲しいことを味わった人が、
あなたにも辛いことがあったらこの言葉を、
そして自分たちの音楽を思い出して拠り所にしてほしいと励ましてくれた。

前身バンドから10年以上ともにしてきた隼ちゃんを失って、sumikaは解散になってもおかしくない状況だった。終わらせることを許される局面だった。だけど「ここで音楽活動を終わらせればsumikaを好きでいてくれる人の記憶が全てバットエンドになってしまう。腑に落とせる未来を作れるとしたら、続けていくしかない」と折れずに進んできてくれた。

今もまだ隼ちゃんのことを受け入れられてない人もいるだろうけど、どれだけ時間がかかろうとその人のペースに正解も不正解もないと思う。「真の情と向き合って、呪われた朝も手繋いで」はまだ受け止めきれてないなら焦らなくていい、あなたのペースで向き合って、3人のsumikaも好きになってくれたときはsumikaの音楽と手を繋いでほしい。そういう意味だと私は解釈した。

今なら思える。この先何回辛いことがあっても、
大切な思い出と大好きな音楽に寄り添ってもらいたいしこれからも助けてもらう。
私の終の住処になってくれたから。


なぜ今日天気が悪い/打首獄門同好会


激しい系ラウドロックは基本聴かないのだけど、
唯一ワンマンに行ってみたいと思うのが生活密着型ラウドロックバンド、打首獄門同好会。

「ふとんの中から出たくない」
「はたらきたくない」
「日本の米は世界一」

代表曲は共感しかないゆるいタイトルのものばり。夏フェスにぴったりなのはなつのうただけど、雨が降っても即座に対応可能な曲ができた。

あの日だってあの日だって
どっちでもいい日に限って
いい天気だったのに
なのになぜ
なぜ 今日 天気が悪い

これでどの天気でも打首は最強になった。
MVも激しいメロとは裏腹にゆるかわなイラストのギャップが良い。雨降らせて責任感じてる、てるてる坊主ちゃんが笑える。

ただ、打首は生粋の晴れバンド。
大澤会長もリリースした日に動画で
「超レア曲になる可能性がある」と予想した。

そして今年、夏フェスで披露したのは1回。
発言を見事にフラグ回収する展開になった。
そしてそのたった1回披露したフェスが地元北海道のJOIN ALIVE1日目。

大澤会長は残念そうに話しているけど、
これを聴けた地元民としては嬉しい限り。
私にとって初めて打首を生で見たライブになったのだけど、初打首でこの超レア曲やってもらっていいんですか!?と当日は驚いた。

これが聴けるなら雨も悪くないなと思った。
ただ夏といえど雨で濡れた服をずっと着てたら風邪引くので、雨予報のフェスは多めのタオルと着替えを持っていきましょう。


tear/reGretGirl


今年新しく好きになったリグレ。
JOIN2日目のセカンドステージで見た。

tearは平部さんのこのMCから始まった。

「SNSを見てると気分が重くなる。
誹謗中傷で命を落とす人が沢山いる世の中。
自分を守りきれなかった人が俺の友達にもいるから。一人じゃないよ。reGretGirlで一番優しい歌を
歌います」

この言葉が心に刺さってものすごい勢いで涙があふれ出した。

JOINの週、りゅうちぇるが亡くなったニュースに私は心を痛めていた。新しい家族の形を発表したりゅうちぇる家族を応援していたこともあり、事実とは違う誤解に基づいた非難、誹謗中傷がTwitterに溢れていることが恐ろしかった。
これりゅうちぇる追い込まれるんじゃないかと思っていたら恐れていたことが起きた。訃報の当日はあまり眠れず、次の日は涙が止まらなかった。

フェスは楽しい雰囲気なので、世の中は重苦しくなってはいたけどそこから離れて忘れさせるための場。
そうなることが多いと思う。
だけどあえて重苦しいことにも触れるのが平部さんだった。おかげで楽しみつつもどこか心に引っかかるような感じがあったけど、泣くことでスッキリできた。

「誇り高く腰は低く」
肩を落として目を腫らしても
とりあえず死なないで
もう誰もいなくならないように

本当にもう誰もいなくならないで。
お願いだから。

今年の10月に対バンした地元が同じ大阪のKANA-BOONが2人同時脱退となり、抜けた2人へのSNSで見るに耐えない言葉が並んだ。
同じ悲劇が繰り返されないこと、
そして平部さんの優しい言葉が届くことを願う。


Chessboard/Official髭男dism


Nコン中学の部課題曲。中学生に戻って合唱部入って歌いたくなった。まず出身中学には合唱部なかった。囲碁盤でも将棋盤でもなくチェスボードを選んだのは緑豊かなイメージがあるからと聡さんがNHKスペシャルで言っていた。そしてその通りのMVとジャケットができた。天才ですね。

綿毛みたいに風に任せ
飛べた頃を羨むけど
空中からじゃ見落とすような小さな1マス
そこであなたに会えたんだ

聡さんは聴き手によって色んな人を当てはめられるように「あなた」が誰なのかとははっきり書かない。大抵の書き手がそうかもしれないけど。

私はこの歌詞を聴いて真っ先に恋人のことを考えた。
恋人とは社会人1年目の頃に知り合った。
大学生の頃は卒業したら何になるか目標もなく、
今を楽しんで過ごしていた。
「行く場所、行かない場所、帰るべき場所」は在学中には見つけられずにいた。
就活がコロナ禍に入った2020年だったこともあり、全ての面接がストップした時間で自分とむきあう時間が増えた。
決めたのは死ぬまでずっと札幌に住むということ。
そして2021年に今の恋人と出会う。
「ずっと札幌にいたいと思ってるから、同じように考えてくれてる人であることが条件なんだ」と直球どストレートにいったところ、
東京出身の恋人は「東京は夏が暑くて今の俺は住みづらい。北海道のほうが快適だから俺もずっとここに住みたいんだ」と返した。
最も重要なことを確かめられたので付き合うことにした。

踏み込んだ質問にも彼は嫌な顔せず答えてくれた。
それ以外にも人生で一番大切なものは家族の時間であるという価値観や食、ライフスタイルへの価値観が似ていることがわかった。
人生を同じ方向を見れる人に出会えた。

昔は親や担任など周りに人生を決めてほしいと他人任せなところがあった私。今も大きな目標や夢もないけど、25になってどう生きていくかくらいは少しだけ自分で決められるようなった気がする。

1歩ずつ大切に種を撒きながらってくらい丁寧に日々を歩んで来れたのかは分からない。
それでも愛したいものを愛する日常を歩いていきたい。

聡さんは声帯ポリープでライブ活動を長らく休んでいた。
休んでいた時間で心の大掃除ができた。続けていくために必要な時間だったと今は思えてるようで本当に良かった。来年からのライブ活動も焦らずゆっくりでいいので、歩きだしてくれると嬉しいな。


ヒーロースーツ/back number

最後はback numberのアルバム曲。
今年のドームツアーでずっとギターを持って歌ってきた清水依与吏がまさかのハンドマイクを披露しファンをあっと驚かせた。

それもそうだしback numberワールド前回の戦隊モノがテーマの歌詞。一緒に見に来ていた母がライブ後に「あのすごい個性的な歌詞の歌さあ」と言ったけどそれだけでなんの曲かすぐにわかった。

戦隊モノだったら僕は何だろう
まず赤じゃないし んー 焦げ茶とかか
そもそも味方側は人気だし
怪人も倍率高そう

実際戦うなら武器は何だろう
刀は危ないし んー 銃も怖い
素手で殴ればきっと手が痛い
他のものを探そう
話し合いで解決するってのは
いかがですか 監督

怪人にすらなる自信がなく武器を使うどころか素手で殴るのも怖い臆病なところが清水依与吏らしくて笑ってしまった。
だけど最終的にはこう言っている。

なんにもない ただの男が
君を救う事もあるさ
ありふれた時間が 僕をありふれた人に
それが良いのか悪いのか分からないけど
普通の心と身体ひとつ
その全部でたたかわせて

結局は日々仕事して一般社会でやっていくだけでみんな十分誰かのヒーローなんだよね。
清水依与吏だって誰かから奪ったスーツなんて着なくてもギターと歌でたくさんの人のヒーローだよ。
今年は本当に飛び抜けた才能とか、優しさとかなくても、何もなくてもいい。
普通の体があるだけで、あなたがあなたのまま生きてるだけで十分なんだよと色んなバンドから教えてもらった。

そしてヒーローになれなかったback numberは次のシングル怪獣のサイズで怪獣になったのではという考察を見て笑ってしまった。


この記事は2023年が終わる2時間前に滑り込みで書き上げました。紅白の合間を縫って。

来年はもっと余裕を持って仕上げます。

来年もたくさんの新譜とライブに囲まれて
楽しく過ごせますように!!
それではみなさん!良いお年を!

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