しあわせおすそわけ#1 ひめりんご
今日から「しあわせおすそわけ」シリーズを投稿していきたいと思います。
タイトルにあるように、私が日常の中で感じたささやかな幸せを投稿していきます。嬉しかったことや幸せを私だけのものにするんじゃなく、せっかくだから読んでくれた方にもちょこっとおすそわけできたらいいな、という思いから始めてみました。とはいえ、基本的には日記です。
♪~♪~
7時半のアラームで目が覚めた。
休日のアラームはじゃんじゃかじゃんじゃかと、なんだかご機嫌な音楽である。(自分で設定したんだけどね)
白とグレーの混じった雲は空全体を覆っていて青い空は見えない。今にもぽろりとしずくをこぼしてしまいそうだ。
だけど暗くはない。ぱっと心も晴れるようなお天気も気持ちいいけれど、私は雲のカーテンを抜けてきた柔らかい光を浴びたい。こんなしっとりとした朝が好きだ。
ただ、今日は食欲がなくていつもの食パンが食べられそうにない。どうしてかはわからないけど、不定期に調子の悪い日が来る。体調がものすごく悪いわけでもないのに、なぜか身体が食べ物を受け付けない。食べ物を見るだけでもしんどくなってしまう。
しかしずっと何も食べないでいると不安になってしまうので、さすがに何かは食べるようにしている。いつもはどろどろのおかゆを作ってなんとか栄養を流し込むけど、今日は白ご飯がないのでなんとか食べられそうなものを見つけないといけなかった。
冷蔵庫を探すとひめりんごがあった。
明日アップルパイにするつもりで楽しみにしていたけど、これしか食べられそうにないからしょうがない。
生で食べられるかどうかもちょっと不安だから、角切りにして軽く炒めることにした。
しっかり洗って半分に切ってみる。
サクッと気持ちのいい音が聞こえた。
すぐにわかった。断面を見なくたってわかる。
これは、おいしいりんごだ。
身がぎゅっと詰まっていてみずみずしいことが包丁越しに伝わる。
皮はむくことにした。爪を立ててしまわないように手のひらで優しく包んで、丁寧に包丁を入れよう。おひめさまのりんごだからね。
ほのかに優しい、甘い香りがする。
1口サイズに切って小さい鍋に入れた。
1つだけつまみ食いすると、ひめりんごはシャキシャキと若々しく元気のある音を立てた。
「シャキシャキ」というのがすごく重要だ。もちろん未熟なりんごだと芯っぽい固さが気になってしまうし、反対にこれ以上熟してしまうと「シャキシャキ」というよりは「しゃりしゃり」に近い少し物足りない食感になってしまう。(それでもおいしいけど)
思った通り、今が食べ頃だったんだ。
もう1つ食べた。りんごを小さくして温める必要はなかったかもしれない。
噛むたびにぎゅっと閉じ込められていた甘みが出てきて、すっと消えていく。
お鍋から取り出して小さいお皿に盛り付けた。
表面が柔らかくなったりんごはきつね色でつやつやとしている。温めたひめりんごはどんな味がするだろう。きっとさっきよりも甘く感じるだろう。
ぐうぅと控えめな音でおなかが鳴った。
今回のように、本当にささやかなラッキーを共有していきます。
あなたがちょこっとだけでも幸せな気持ちになってくれたら、嬉しいです。
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