君が薬指につけてくれたエンゲージリングいや、絆創膏。
少し昔の話をします。
元彼と付き合ったばかりの
初々しい文章が出てきたので再編。
夏、体育祭予行練習。
私と彼は体育祭の運営係で、
そそっかしい私は、
大きくて重い延長コードを運んでは転び、
予行が終わる頃には私には無数の傷ができていた。
そのうちの左手の薬指の傷口からは
血が少し、出ていた。
友達がそれを見て絆創膏をくれたものだから、
貼ろうと思った。
しかし私は
利き手でない方の指に綺麗に絆創膏を貼ることができない程度の不器用さを有していたので、
友達からもらった絆創膏をもう2枚は無駄にしていて、それらはくちゃくちゃのガムみたいな姿でポケットにしまわれた。
せっかくの絆創膏をくれた友達に
申し訳なくてしょげていた私を見かねて、
彼が3枚目を私から取り上げて言う。
「もー。俺が貼るからじっとしてて。」
そう言って彼は私の左手薬指に絆創膏を貼る。
瞬間、彼が手に持つ絆創膏はエンゲージリングで、
体育祭予行練習本部席は、結婚式披露宴会場であったという錯覚。
全部錯覚。
彼といた日々も、記憶も全部錯覚だったんじゃないかと思うほど、
あっけなく終わりましたよ。
こんな文章書いてると、まだまだ未練タラタラじゃんか。と思われるかもしれませんが、
そんなことはありません。