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あなたが私を都合の良い女だと思うのならば、私にもあなたを都合よく扱わせてほしかった。



大人っぽい、とか考え方が好きとか、そういう理由で私を好きだと言ってくれたあの人は、

私が女子高生だからという理由で、もう好きだとは言ってくれない。

『これは恋愛じゃないな、この先には進めないなって思ってる。君が高校生というただ一点だけで、そう思ってるよ。』

大人っぽいだけの私は、
法律上の子供っぽさで、
簡単に大人の世界から弾かれてしまった。

でも大人っぽいだけの私は、
精神的に足りない子供っぽさで
子供の世界からもすでに、弾かれている。

彼の隣に、私はいるべきではない。
法律的に、私は子供なのだ。
どれほどの速さで私が大人っぽさを吸収しても、生き急いでも、
物理的な時間の溝は埋まることはなくて、
私と同じでまともじゃない、と思っていた彼は、
どこまでもまともだった。

私のこの、ぼんやりとした居場所のなさは、息苦しさは、これからも私を蝕み続ける。


少なくとも、彼が私を抱いてくれるまでは。


もう、めちゃくちゃにしてほしい。
私の頭はおかしくて、きっとそれはこの先もそうで、

こころの中のグチャグチャは、溜まっていくばかりで消えることがなくて、

みんなが思うよりずっと、私の頭はおかしくて。

いつ溢れ出すともしれないそれを、私は今日も抱えて歩く。

だからそろそろ、暴いてほしかった。
このめちゃくちゃな私を。

いつか、愛する人にこのぐちゃぐちゃをぶちまけてしまうのではないかと恐れながら生きる私を。


「抱いてよ」

何回も言った。10歳上の、26歳の彼を、
彼のベットの上に押し倒して迫った。


あなたが私を都合の良い女だと思うのならば、
私にもあなたを都合よく扱わせてほしかった。


このぐちゃぐちゃを、
どうせ私が18歳になっても、28歳の恋人を作って私のことなど忘れるあなたに、
全て暴いてほしかった。

あなたの肉欲で、私を満たしてほしかった。
空っぽで、ぐちゃぐちゃな私を。

そしてあなたに深い傷を負わせてやりたかった。
10歳下の女子高生を抱いた負い目を、
私という存在を、
深く刻みつけてしまいたかった。

それなのにあの人は、
簡単に私から離れていった。

君は忘れられない人だよ、
と言ってくれたこと、覚えているのに。

あなたの匂いも、
海の青さも、
潮風のべたつきも、

あなたからキスしてきたあの夜のこと
声もセリフも表情も景色も覚えているのに。

私の網膜に、唇の感覚に、心臓の拍動に、鼻腔に、焼き付いて離れないというのに!


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