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苦手な相手が実は愛の使者だった話。



2月からお仕事をお休みすることになった。

自分の心と身体が、サインを出してくれたのだ。

本当の自分の在り方と、私が選んでいる場所が一致していないことに気づいたのは昨年末。

2月まで、あと数日。
なぜ、その決意をしたのか。
その気づきを記しておこうと思う。

私は今、障害者支援の仕事をしている。

これまでいろんな仕事をしてきたけれど、今の仕事は初めてやりがいを心から感じる仕事だった。

毎日がほんとうに学びの連続だった。

日々の勤務の中で、利用者や職員と接しながら、仕事を通して自分の内側から浮き上がってくる様々な感情とひとつひとつ向き合ってきた。

そのなかで、自分を縛ってきた鎖を、何本も何本も見つけてきた。
見つけた鎖を一本ずつ外していったとき、完全な解放が起きた。

苦しみの正体を知り、
自分に価値があることを知り、
本来の自分を取り戻した。

するとそこからの世界は、
昨日までの世界と全く違ってみえた。

だけどもちろん、日々の生活は続いてゆく。

昨年秋頃から、ある1人の職員さんのことがやけにひっかかるようになった。

その方は、とても仕事ができる上に社交的。
頭が良くて、いろんなことに気を配り、全体を見て判断し、上手に行動するのだ。
それに人との付き合い方も格別にうまい。
ドンといわれるような長年勤めている人たちの心にスッと入ってゆく。
人の何倍ものスピードで、仕事や人を自分のものにしていった。

初めは、すごい人が来たな…と思った。
彼女の能力と才能に感心していた。

だけど何か引っかかる…
何か、違和感を覚えていた。

その何かが、だんだんと顔を出し始めた。
じわじわと彼女がその場を牛耳り始めたのだ。

その能力があだとなり、できてしまう、見えてしまうが故に、周りの人を裁くようになった。

力のある立場の人をうまく味方につけ、あれが出来ていない、これも出来ていない。
あの人はダメだ。何でこうなる!
しまいには、いろんなところで人の悪口を言いふらし、その口調もかなりキツいものだった。私への風当たりもキツくなっていった。

私や周りのみんなが積み重ねてきた努力や成長、その人しか持てない素晴らしい特性は、彼女からみたら全て批判の対象となった。

この世界は自分の内側の映し出し。

ある時から彼女と勤務を組む時間を、自分の内側を見つめる時間にしようと決めた。

私は彼女のどの部分に反応してしまうのだろう。どの部分に苦しくなってしまうのだろう。それを見つめていくと…

【人を自分の基準で批判し、人の悪口を言う姿】に反応していたことに気づいた。

それは即ち、

【人の悪口を言ってはいけない】
【人を批判してはいけない】
【人を傷つけてはいけない】

という私の中にある鎖が反応していたのだ。

あぁ、まだ私はここに縛られていたんだなぁと気付いた。

ではなぜ、ここに縛られてる…?

小学6年生で転校生となったとき、ひどいいじめを受けた。

学年中の女子に無視をされ有る事無い事陰口をたたかれ、物を隠され、いたずら電話。ひとりぼっちになった。修学旅行なんて地獄の数日だった。

「あなたと仲良くしたら皆んなに嫌われるから、話しかけないで」

そう言われた時、初めて教室で膝から泣き崩れてしまった。

私のこと、何も知らないでしょう?
私、何かした?
私、やっぱり生きててはいけないんだ。

毎晩身体中に蕁麻疹が出て、心も身体も悲鳴をあげていた。

【何も知らないのに、人の悪口を言うなんてひどい】
【私と話したことすらないのに、何で噂を信じて嫌うのだろう】

ひどい、ひどい、こわい。

そのとき私はこの出来事から

【人の悪口を言ってはいけない】
【人を批判してはいけない】
【人を傷つけてはいけない】

という鎖を体に巻きつけた。

この出来事以来、私は、心の中で人を批判する想いが湧くたび、自分を責めた。

人を批判する私はいけない。
人を大切に出来ない私はダメだ。

生きていれば、人を傷つけてしまうことだってある。
だけどその度に、自分を消してしまいたくなった。

この鎖が身体に食い込んでいたからだ。


でも、本当は、全て、すべて、
許されていることを知った。

嫌だと思ってもいい。
嫌いだと思ってもいい。
それを口に出したっていい。

だって、今、それが、あなたに起こっているのだから。
必要だから起こっているのだ。

起こっていること。

必要だから、起きている。

そうやって、ひとつひとつ自分に起きてくることを受け止めていく。
何ひとつ、ジャッジせず。

それが、自分を認めてあげるということ。

わたしを生かしてくれている【存在】を信じる。
その、【存在】を信じ切る。
わたしを生かしてくれている【いのち】を、信じる。

ほんとうに、
すべて、
そのままで、大丈夫。


そうやって向き合っていくと
彼女の存在が、少しずつ愛おしいと感じるようになった。

彼女の口癖は 
【私はこんなに頑張っているのに】

彼女はきっと、たくさんの困難を、ストイックに必死に生き抜いてきたのだろう。
きっと1人で、必死に努力を重ねて、たくさんの壁を壊してきたのだと思う。

だからこそ、彼女は、たくさんの鎖を身体中に巻きつけてきた。
そうしなければ、生きていけなかったから。

たくさんの、【〜でなければいけない】が彼女自身を苦しめている。

私の残り少ない在職中に、もし度が外れたことが起これば、彼女に愛で怒りを伝えるかもしれない。分からないけど。しないかもしれないけど。

愛でしか、人の心には伝わらない。
怒りは、怒りしか生まない。
憎しみは、憎しみしか生まない。

その原点に戻れたこと、
目の前に起こることは、全てが学び。
目の前に広がる全てが、己というものを教えてくれるのだ。

ありがとう。

彼女との一件から、自分に湧き上がってきた想いがある。

誰もがジャッジされない場所をつくりたい。

この社会の中で生きていると、どうしても人からジャッジされる。 
会社からの評価。上司からの評価。人からの評価。非難。差別…
自分が自分であることを疑ってしまうには十分すぎる。この社会は、こんな馬鹿げたことが溢れかえっている。

もちろんそれは、自分の価値とは全く無関係なこと。
そのことに気付いている人にとっては、痛くも痒くもないかもしれない。

だけど、ほとんどの人にとっては、苦しいよね…。

だからわたしは、この両手いっぱいを広げて、受容そのものとなりたい。

大丈夫だよって。
ほんとうに、大丈夫だからって。

全て全て、許されている。

どんなあなたでも、あなたが何を選択しようと、私はあなたの存在そのものを愛している。

そんな場所を、わたしと言う存在を通して、在り方として、つくりたいと思った。

だから、まず私は、このジャッジされる社会、会社から抜けようと決意した。

自分をごまかしてそこに居続けたことによって、体も悲鳴をあげだし、これはもうサインなのだと思う。

彼女は、私にとってそれに気付かさせてくれるための、大切な使者だったのだ。

ありがとう。




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