読書記録・2010/09/29「異文化の中の日本人-日本人は世界のかけ橋になれるか-」

2010年9月29日
渡辺文夫著、「異文化の中の日本人-日本人は世界のかけ橋になれるか-」
異文化を体験することは大変面白い。今までに出会ったことのない世界には、驚きと発見が詰まっている。またその一方で異文化を体験したときに生ずるショックは結構大きいので、とても体力のいる作業でもある。
本書では、作者が経験した東南アジアや欧米での体験、その他アジアに派遣歴のある人の聞き取り調査から得られた体験がまとめてあり共感できる部分が多々ある。
筆者は、異なる文化で育った人たちと出あうと、それまで当たり前だと思っていたことや行動してきたいことが根底からくつがえされるものであると言う。このときに人は、それまで経験したことのない体の不調といった身体への衝撃、におい、音、味、光景などの感覚的な衝撃、「わからない」「不思議だ」というような試行的な衝撃、自分を冷静にみられない、気が狂いそうになるなどの実存的な衝撃、またこれらの身体的、感覚的、思考的な衝撃、実存的な衝撃は、緊張、とまどい、驚き、イライラ、疲れ、不安、恐怖などの感情的な衝撃を引き起こす。
作者のいうこれらの衝撃は私も経験したことがありよくわかる。また、このようなカルチャーショックの体験の中では、自分を客観的に見つめることができ、新たな自分の発見があることがとても面白い。また、自分を見つめることで自分が育ってきた日本という国のいいと思う点、逆にもっとこうした方がいいという改善すべき点が明らかになってくる。
また、このカルチャーショックに向かい合っているのは異文化の中にいる私だけではなく、私と接する相手方にも同様のことがいえるであろう。互いに違いを意識しあい、ぶつかり、摩擦しあうことで、新たな考え方や方法が生まれてくると思う。異文化が接することは物語の始まりとも言えるであろう。
異文化の中で楽しむこと、自分の思いを相手に傾け、それに呼応して生まれたものを楽しんでいくことが、開発における醍醐味だといえるであろう。

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