読書記録・2011/02/23「フリーズする脳」を読んで
2011年2月23日
築山節著、「フリーズする脳」を読んで
本書に書かれていた、ボケの予備軍である「フリーズする脳」は実際に自分の身にまさしく起こっていることであると気づかされた。現代の私たちの生活はあまりにも便利になりすぎており、その便利さに依存し、自分の脳を使わないでいることが多い。脳は使わないとどんどん衰えていくものであるといい、自分の生活を振り返って考えてみると、便利さに頼って脳を怠けさせているということが明らかで、著者の忠告に該当する。
怖さを感じると共に、日々の生活の行動を改ためること、意識的に訓練することで「フリーズする脳」を改善していけることがわかった。
「フリーズする脳」とは、パソコンがフリーズしたときのように、脳のある機能が思いがけずうまく働かない状態のことを言う。具体的には、記憶を引き出す力、情報を組み立てていく力、組み立てたものを脳の中で保持しておく力、聞き分ける力などが低下しているために、話している最中に“今私は何を言おうとしていたのだろう”などと思考が停止する状態だ。フリーズする脳になってしまうと、思考することができなくなるために、人との豊かなコミュニケーションが難しくなり、クリエイティブなものを生み出すことができなくなる。
このような、「フリーズする脳」は、ボケの予備軍である。脳はもともとボケるようにできており、生活習慣や置かれた環境が影響しているという。若くても脳がフリーズするような生活をしているとどんどん衰えてしまう。一方、たとえ高齢だとしてもうまく脳を使っている人はいつまでも若々しい脳を保つことができるのだと著者は述べる。
現代の生活は脳の使い方を偏らせる要因が多いと著者は言う。たとえば、一日中パソコンに向かっている仕事、一日中ヘッドホンを耳に当てて音楽を聴いている、コミュニケーションは基本的にメールで行う、思い出すかわりのようにインターネットで検索する、計算などの雑多な思考作業は道具に任せる、テレビばかり観て家族との会話がほとんど無いなどだ。
これらに共通して見えてくることは、他者との躍動的なコミュニケーションが欠落しているところだと言えると思う。会話は決まったシナリオ通りに行われるのではなく、相手が言ったことを短期記憶として頭の中にとどめ、整理し、理解する。そして、相手の言ったことに対して、自分の既存の記憶を引き出して結びつけ、論理的に組立て直し、相手に伝える。予想とは反する言葉が相手から出てくるかもしれないので、その都度、それに関連するように答えなくては会話は成立しない。また相手のバックグラウンドから想像して、こんな風に説明したら相手は理解してくれるだろうと、相手によって言葉を選んだり、説明する範囲を広げたりしなくてはいけない。このようにしてみてみると、コミュニケーションというのは脳を鍛えるすばらしい機会であることがわかる。しかも、ただ思いつくままに話すのではない。相手にきちんとわかるように説明するのである。
今、自分自身を振り返ってみて、自分の脳はフリーズしがちであるというのがよくわかる。しかし、私の場合、本書で説明されていたような“以前は違ったのに、今はフリーズするようになってしまった”というのとは異なる。おそらく私の脳は、“以前からずっと訓練されていないので未発達の状態”なのだ。
本書によって、自分の弱点の原因がブレイクダウンされ、改善していくきっかけとなった。
今後とも、おもにコミュニケーション時に使われる脳の力を意識しながら、自己開発をしていきたい。
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