読書記録・2010/07/19「ジャガイモのきた道-文明・飢饉・戦争」を読んで

2010年7月19日
山本紀夫著、「ジャガイモのきた道-文明・飢饉・戦争」を読んで
マンニャン族が今後繁栄していくためには、様々な文化をうまく選択し、受け入れるしかないと再確認させられる1冊だった。
食糧の採集から生産への生活体系の変化について考古学者サンダーズは、食糧の採集から生産への変化は、定住の発達、人口の増加、余剰時間の増加をもたらすのである、という。
この記述から、狩猟採取、焼き畑農業で転々と居住場所を移動させながら暮らすマンニャン族は、どうしても人口を増やしていくことができない、高い乳幼児死亡率を下げることができないということが、決定づけられてしまう。
また、今回はジャガイモという一つの作物が世界各地に広まり、そのジャガイモの痩せた土地でも育ち、栄養も豊富であるという特性が、人々の食糧を維持し、食生活に変化をもたらした、という話であったが、必要な食文化を選択し受け入れたことが、人々に繁栄をもたらしたということがよくわかる。
さらに、近年アフリカで急速にジャガイモの生産量が増加していることが述べられており、特にルワンダについては過去50年間の間で120万トンも増加、一人当たりのジャガイモの消費量はドイツをしのぐ124キログラムに達しているというのである。急速な食生活の変化が伝わってくる数字である。
これらから学べるものは、その土地の文化とは時代や条件により変わっていくものだということである。今回のジャガイモはそのいい例だ。一つの文化が受け入れられるということは、それを必要とする人がいてそれを選択したことによる。必要とする土壌があれば、あっという間に広まって根付くのである。
今回、イモという食糧を通して多くの人が救われたことに学んで、マンニャン族は農耕文化やそのほか生き延びるために必要なものを少しずつ受け入れていくしかない。
私たちファシリテーターにできることは、マンニャン族が農業をはじめとする文化を必要だと思えるようになる土壌を作っていくことだと考える。それは実際に成果を目の当たりにさせることでしか方法はないと思う。ますます農業に本腰を入れて取り組む必要があると感じた。
田畑智美

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