57.憧れのベッド生活
小学生の頃、テレビを見てベッド生活に憧れました。これぞ自分部屋という感じがしました。
それまでずっとおじいちゃんとおばあちゃんの間で寝ていたのですが、小学4年生のある日、お父さんに言いました。
「自分の部屋で、ベッドで寝てみたい」
すると、お父さんは少し考えて「よし分かった」と快諾してくれました。
次の日、おじいちゃんが部屋の寸法を測りにきました。そして、カンナやノミ、クギなど沢山の大工道具が置いてある作業部屋で何かを一生懸命作っていました。カンナをシュッシュッと滑らせていました。何日も経ちました。
そのうちニスの臭いがしてきました。
さらに何日か経って、私の部屋にベッドの枠が運ばれました。おじいちゃん作です。畳屋さんが登場して、ベッドに畳を1枚はめていきました。
おじいちゃん手作りの、畳ベッドが完成しました。
その日から、ひとりで寝ることにしました。憧れの「自分の部屋にベッド生活」の始まりです。少し大人なくすぐったい気分で寝たのを覚えています。