イケダトモミ

ブリストル大学修士課程を経て、本の要約サービス・フライヤーのライター、エディター。元・熱気球部。趣味は楽器演奏や手芸。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。夫はクレイジーおもちゃオタクな小説家。

イケダトモミ

ブリストル大学修士課程を経て、本の要約サービス・フライヤーのライター、エディター。元・熱気球部。趣味は楽器演奏や手芸。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。夫はクレイジーおもちゃオタクな小説家。

マガジン

  • ロボットオタクの夫とのこと

  • PLANETS School 課題

    文章を添削してくれるPLANETS Schoolを受講していたときに書いた記事です。

  • ブリストルのご紹介

    2018年から2019年にかけて滞在していたブリストルの様子を紹介しています。

最近の記事

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6万円の使い方——夫の趣味を「なぜ許せるんですか?」と聞かれて考えたこと

会社の研修で、勉強会に参加することになった。講座の目的は、自分自身を魅力的にプレゼンできるようになること。まずは自分の興味や専門、経験などのなかから、他の人が面白いと思えるものはどんなものかを探ろうということで、グループワークで話し合うことになった。 私の経歴は、けっこう変わっている。社会人になってからイギリスに留学し、帰国後は働きながら大学院に通い、最近は博士号をとったばかりだ。専門は外国語教育で、研究テーマは帰国子女。そして、趣味は音楽、熱気球部に入って活動していた経験

    • 奇跡と一体になるロボット——例の高額ロボット上半身が届いたら、歴戦の勇者にしか許されない遊びが待っていた

      先日、ロボットオタクの夫(池田明季哉)が、ダイアクロンという大人向けロボット玩具シリーズから、下半身しか発表されていない高額ロボットおもちゃを購入した話を投稿した。 6万円以上するのに、下半身の発売時点で上半身は発表にすらなっていない。しかし、おもちゃは一度売り切れてしまったら手に入らないかもしれないことを知っているロボットオタクは、上半身発売決定まで待っていられない。上半身も発売になることを信じて、下半身しかないロボット購入を決断するしかないのだ。 夫と同じように考えた

      • 私と全然違う人だった。だから、結婚しようと思った。

        彼と出会ったとき、この人と結婚することになるとは思いもしなかった。 夫と出会ったのは大学時代のインターン先の学習塾、彼のほうが数ヶ月早く勤務を開始していたので、私は彼に仕事を教えてもらうことになった。第一印象は「字が個性的」だった。なんというか、衝撃的な字を書いていて度肝を抜かれた。単に下手というのも何か違う。まず、ペンをしっかり握っていないようで筆圧がすごく低い。そのせいで線がにょろにょろしている。そして、字の「流れ」というものを一切理解していない筆運びだった。 たとえ

        • 恋人を「豚トロハラミ」と父に紹介した日

          今になって思うのは、父はけっこう照れ屋な人だったということだ。基本的には関西弁の気さくなおじさんで、度胸のありそうな顔をしているのだけど、じつは改まった場は苦手だったのかもしれない。 もう10年以上前、結婚前に恋人を両親に紹介することになった。待ち合わせは横浜駅。早めについた私と彼は、父の指定した場所に立っていた。ごみごみしたこの駅でスムーズに落ち合えるだろうか、会ったらなんて彼を紹介することになるんだろうか、紹介するときは何て言おうか、そんなふうにひたすら気を揉みながら待

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        6万円の使い方——夫の趣味を「なぜ許せるんですか?」と聞かれて考えたこと

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        • ロボットオタクの夫とのこと
          5本
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          5本

        記事

          ロシアで出会った人たちの気持ちは、全然わからないままだった

          感染症も戦争も始まる前のロシアに降り立ったことがある。滞在時間はたったの1時間。空港の中だけの出来事で、正確にはロシアの大地を踏んですらいない。だけど、一生忘れられないくらいに散々なめにあった。 2019年の9月、1年間のイギリス留学を終え、夫と娘と3人で日本に帰国することになった。そこで購入したのがモスクワのシェレメーチエヴォ国際空港乗り継ぎの、アエロフロート・ロシア航空の航空券だった。言い訳がましいけれど、この航空券を予約した時期はとても忙しかったのだ。だから購入した航

          ロシアで出会った人たちの気持ちは、全然わからないままだった

          発表しない芸術活動のススメ

          クラリネットを始めてわずか2年余りの吹奏楽部員だったとき、初心者集団の中学生にはとても吹きこなせないような「難曲」でコンクールに出場した。若さゆえの体力と根性に物を言わせ、ありあまる時間のすべてを注ぎ込み、たった7分の曲のために部員全員で毎日何ヶ月もの練習を重ねた。一音ずつ音をとり、つなぎ合わせ、テンポを上げた、青春の断片を押し込めたような一曲を、広いホールで三度演奏した。いつもと違うステージ、照明の眩しさ、客席のざわめき。不思議と緊張はしなかった。曲が始まってしまえば、目に

          発表しない芸術活動のススメ

          車椅子のみいちゃんが亡くなった

          小学生のとき、同じ学年に車椅子に乗っている女の子いた。仮にみいちゃんと呼ぶことにしよう。 みいちゃんは一人だけ別のクラスだった。当時、「特殊学級」と呼ばれていたみいちゃんのクラスに、わたしはときおりクラスメイトといっしょに遊びにいった。同じ教室で授業を受けたことはなかったし、みいちゃんがわたしたちのクラスに来たこともなかったので、何がきっかけでいっしょに遊ぶようになったのかは覚えていない。わたしの妹も、別の学校で特殊学級に通っていたので、なんとなくみいちゃんに親近感を感じて

          車椅子のみいちゃんが亡くなった

          「いつものおやつ」ができるまで

          最近急激にはまったことがある。おやつづくりだ。きっかけは、なかしましほさんが「らくちんアップルパイ」のレシピツイートを目にしたことだった。 わずか1ツイートに、アップルパイのレシピがおさまっている。パイといえば、作るのが面倒なお菓子の代名詞だ。あのサクサクのパイ生地を作るためには、何度も生地を折り畳む作業が必要で、手間も時間もかかる。アップルパイなんて、「世界一面倒」の代名詞だといってもいい。その作り方が、こんなに短い文章におさまるなんて。 しかし、「らくちん」とはいって

          「いつものおやつ」ができるまで

          空いっぱいの気球に感動! 佐賀インターナショナルバルーンフェスタ

          2018年にイギリスの南西部の街、ブリストルに留学していた。現地で知ったのだが、ブリストルは熱気球の街だった。成り行きで大学の熱気球部に所属することになったのだが、帰国する頃にはすっかり熱気球に魅了されていた。日本でも熱気球を楽しむことはできるのだろうか。 調べてみると、佐賀県で毎年、アジア最大級の熱気球イベント、「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」が開催されていた。今回は、気球の魅力とともに、2019年の佐賀インターナショナルバルーンフェスタの初日の様子を紹介したい

          空いっぱいの気球に感動! 佐賀インターナショナルバルーンフェスタ

          憧れが等身大になり、恋が始まる『海がきこえる』

          日本テレビ開局40周年記念番組として放送された『海がきこえる』は、スタジオジブリの長編作品で、唯一のテレビアニメである。宮崎駿や高畑勲が関わらない初めてのジブリ作品で、制作のクレジットは「スタジオジブリ若手制作集団」。売れっ子作家であった氷室冴子の同名の小説を原作としており、当時のジブリとしては初の学園ものでもある。海にほど近い高知の進学校を舞台に、当時の時代の空気がリアルな風景とともに克明に描き出されている。 宮崎駿が本作に触発されて『耳をすませば』を構想したというのは、

          憧れが等身大になり、恋が始まる『海がきこえる』

          ロボット初心者の妻が、クレイジーおもちゃオタクの夫に腰を据えて話を聞いてみた

          私の夫である池田明季哉(いけだ あきや)は、「クレイジーおもちゃオタク」を自称する、デザイナー&小説家です。所持しているロボットおもちゃは優に100を超え、自室の棚にはロボットがずらり。Twitterには大長編の自作のロボットおもちゃストーリーを投稿しています。 ▲自作のおもちゃストーリー。読み切るのは大変な長さです。 さらに、Twitter上でロボットおもちゃの「非公式ファンイベント」まで主催して、最新では880機以上の写真投稿を集めるなど、かなりクレイジーなおもちゃ遊

          ロボット初心者の妻が、クレイジーおもちゃオタクの夫に腰を据えて話を聞いてみた

          米澤穂信と青春の残り香

          小学生の頃から本の虫だった。朝、登校と同時に図書館によって本を借り、昼休みには読み終わってしまうので別の本を借りにいく。上級生の図書委員に「同じ日にはもう一冊は借りられない」と言われて「そんなのルールに書いていない」と食ってかかるような子どもだった。 好き嫌いなくなんでも読むのだが、特に気に入っていたのはミステリだ。今では主要な作品は大方読み終わり、よくあるトリックが出てくると「このタイプか」と予想がついてしまう。けれど、それをたしかめるように読むのもまた楽しい。とはいえ、

          米澤穂信と青春の残り香

          いいパン屋の近くに住む幸せ

          数年ほど前に渋谷区のはずれにある富ヶ谷に住んでいた。代々木八幡と代々木上原と駒場東大前の3つの駅のちょうど真ん中あたりで、どの駅からも少し遠い。自宅から目と鼻の先には首都高速中央環状線の富ヶ谷インターチェンジがあり、トラックが行き交う三車線の広い道路の脇には新旧のマンションが立ち並ぶ。殺風景で、ここには何もない。そんなふうに言われることもあるけれど、私は富ヶ谷が好きだった。 じつは、富ヶ谷はパンの聖地なのだ。どの駅からも遠いからこそ、それらすベての駅周辺に点在するパンの名店

          いいパン屋の近くに住む幸せ

          フレンチからラノベ、そして日本の「アタラクシア」——『アタラクシア』を読んで

          タイトルである「アタラクシア」は、ギリシアの哲学者エピクロスが説いた、欲望から解放された「心の平穏な状態」である。金原ひとみはこの小説で、「平穏」を求めながらも欲望にまみれ、もがきながら生きる人々を巧みに描いている。  その中心にいるのは、フランス帰りの元モデルである由依だ。現在は翻訳家として働く彼女は、ブランド品に身を包み、同性からも憧れられる、周囲に流されない洗練された女性として描かれる。彼女にまつわるものは、たとえ不倫中のセックスであっても美しい。磨き上げられたその肉体

          フレンチからラノベ、そして日本の「アタラクシア」——『アタラクシア』を読んで

          グラフィティの聖地、ブリストルでバンクシーをめぐる

          こんにちは、お久しぶりです、イケダトモミです。 昨年まで夫と娘を伴って、ブリストル大学に留学しており、ちょくちょくブリストルについてご紹介していきたいと思っていたのですが、その後の引越しのバタバタとコロナショックですっかりご無沙汰になってしまいました。 外出自粛が続きますが、ネットでは楽しい発信をしたいものだな、と思い、今日はおうちでブリストル観光気分になってもらうべく、ブリストルで見つけた名物グラフィティを紹介したいと思います! そもそもグラフィティって?まずはブリス

          グラフィティの聖地、ブリストルでバンクシーをめぐる

          イギリスで住みたい街No1、ブリストル地元民の遊び場所

          イギリスの南西にある街、ブリストルをご存知でしょうか。ロンドンから電車で2時間ほどにあるブリストルは、海に近く気候が穏やかで、遊ぶ場所もたくさんある隠れた人気スポットです。2017年にはイギリスで住みたい街No1にも選ばれました。 私は2018年から2019年にかけて、家族でブリストルに滞在し、たしかにとても住みやすい街だと感じました。その理由のひとつに「地元民が遊べるスポット」がたくさんあることが挙げられるのではないかと思います。 よくある観光地って、外から遊びに来る人

          イギリスで住みたい街No1、ブリストル地元民の遊び場所