「弘法様のお餅」、元給食センターの栄養士さんよりも、元給食センターのおばさんのお餅の方が美味しかった。(こんな日もあるさ #6)
春になると、老人たち、初老から高齢までの女性たちが、弘法様を奉り、お餅つきをしたり、オコワ(赤飯)を炊いて、ご近所さんに配る。
直接、おやくっ様(小さな薬師堂)まで、子供たちが出向くと、お菓子の袋詰めを配ったりされるようだ。
母も、一昨年までは、参加していたが、足腰がどうもダメで、その講をやめてしまった。最後の年は、遠目で見ていたら、他の参加者はまだ元気がいいので、普通に動けるが、動けない分、「それじゃあ、あかん!」とか、母の声が聞こえる。
姉、イノキも、近所だから、観察してた模様。
「おばあさん、何をゴネゴネ言っていたの?」
時は、曇り空で、雨が小雨、寒い中、なんか、お年寄り連中が無理して、火を焚いて、餅米を蒸して、動き回っている。(本当に、大丈夫かい?風邪でも引いたら・・)
と、あとで、家族会議を開いて、「弘法様、辞めます」という決定になる。
この、春の弘法様のお餅の出来具合が、人によっては、時によっては、あんこ餅というよりも、餅がプラの入れ物にちぎりっぱなしで、その上から餡子がダラーとかけただけ。
時には、草餅の切り餅を頂いても、カビが生えていたとか。なかなか、手を付けられる代物ではない時もある。
母、弘法様を辞めても、大きめの餅つき機の貸し出し、乾いた竹を、焚き物にできるの長さに揃えて束ねたものの差し入れはしているようだ。
今年の春には、午後になると、軽トラがとまって、「よしみちゃん」というおばさんが、給食センターで着ていたであろう、割烹着に帽子まで被って、オコワ(栗入り赤飯)、紅白のお餅、切り餅のお裾分け。同時に、餅つき機の返却。
またもや、恐る恐る、食べてみると、赤飯は、旨い。(もっと、食べたい!)
餅も恐る恐る、紅白のお餅1対と、切り餅2個だけもらって、帰った。
それは、冷凍にしておいた。
カビが生えるだろうと、思っていたが、全然大丈夫。
イノキからの情報によると、「今年の赤飯は、おかわりしたいほど美味しかった、餅も、軽くておいしかった!」と、大好評。
その時の切り餅の冷凍が残っていたので、それをレンチンして食べようとしたら、2枚くっついてしまい、なんとか1枚に剥がそうとしたけど、無理だった。
仕方がないから、2枚まとめて、ラップで包んで、レンチン。
なんか、時間が短すぎて、固めだったけど、なるほど、うるち米と餅米のミックスの割合がいいのか、重いかなあと思ったが、意外と軽い。お腹にもたれない。
カビてない。
これこそ、元現場で、働いていた給食センターのおばさんの技だと、改めて思った。
元給食センターの栄養士さんの指示によるものだろうが、やはり直に触る人のちょっとした心遣いで、こんなにも差があるなんてと。
思いながら、しみじみと、お餅を食べた。やっぱ、仁王立ちの、元栄養士さんの姿がどこかしら、見える、見える、見えた。
でもね、いつも、実家で、庭仕事していると、元栄養士さん(地域のボス的な存在)が、「いつも、ありがとね!」とか。「また、来てね!」と声をかけてくれる。それだけでも、感謝しなくちゃと。
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