うそがないということ
高校の夏休み、自分が何をやっていたのか記憶がない。部活動もバイトもしていなかった。甘い青春の思い出も無い。通学に1時間かかっていたこともあり、近所に友人はいなかったので、わざわざ友人と会って遊ぶということもあまり無かったと思う。今となっては夢のような40日間連続の休みを、いったい何に費やしていたのか。わずかに残っているのは飼っていたリスの記憶だ。床にうつぶせに寝そべり、ケージと同じ目線で漫然とリスを眺めていた。それは決して動物記が書けるような緻密な観察ではない。狭いゲージの中