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どんぐり味のおにぎり
一晩中 雨が降った あくる日、 リスのちーちゃんは お母さんに 言いました。
「きのうは ずっと お家で遊んでいたから 今日は みんなで お外で ピクニックしたいな。」
お母さんは、
「そうねぇ。
じゃあ、今日は みんなで ピクニックを しようかしら。」
そう言って、おにぎりを 作り始めました。
お兄ちゃんの タンくんも おにぎりを見て 大喜びです。
「お母さん、ぼくのおにぎりは どんぐり味がいいな。」
とリクエストをしています。
それを聞いた お母さんは アツアツのごはんを 握りながら
ニコニコしています。
「さあ、できたわよ! みんなで お外で お昼ご飯を 食べましょう。」
そう言って、お母さんは ちーちゃんと タンくんを 連れて 出かけました。
「お父さんは?」
ちーちゃんが お母さんに たずねます。
「お父さんには 先に行って 場所取りを してもらっているのよ。」
と お母さんが 言いました。
森の中を 進んでいくと お父さんを 見つけました。
「おーい!」
お父さんも ちーちゃんたちを見つけて 手を振りながら 叫んでいます。
お父さんは 大きな木の下で みんなを 待っていました。
その場所は たくさんの木の実が落ちていて、木漏れ日が ちょうどよい感じに 差し込んでいました。
枝と枝の間に 落ちていた布を 結び付けて 落ち葉を 敷き詰めたら お父さんお手製の ハンモックの完成です。
「フカフカしていて 気持ちいいね!」
ちーちゃんと タンくんは ハンモックに大喜びです。
お父さんも こどもたちの姿を見て ニコニコしています。
お母さんは 持ってきたおにぎりを出して、みんなで お昼ご飯を たべる準備をはじめ、みんなは 葉っぱから落ちてくる しずくで 手を洗いました。
そして、おにぎりを 一つずつ えらんで
「おててを あわせて いただきまーす!」と大きな声で言い、
おにぎりを ほおばりました。
「…モグモグ、モグモグ!」
「…パクパク、ゴックン!」
みんなは おにぎりを たべることに 夢中になるあまり 静かになってしまいました。
あまりの静けさに お母さんは 笑ってしまいました。
すると つられて お父さんも タンくんも ちーちゃんも 笑いました。
「ぷはー、お腹いーっぱい!」
とちーちゃん。
「ちーちゃん、かけっこしようよ!」
とタンくん。
そんな こどもたちの様子を お父さんと お母さんは ハンモックに 寝そべりながら ニコニコして 見つめていました。
お日様も 風も 木も 葉っぱも 花も 鳥も どんぐりも みんなみんな ニコニコしている様でした。
「ピクニックっていいな!」
ちーちゃんは 心の中で つぶやきながら お兄ちゃんのもとに 駆け寄っていきました。
おしまい!