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生存確率を上げるM&A起業

『買収起業完全マニュアル』

最近、興味深い本を読みました。

「買収起業」完全マニュアル ベンチャー立上げリスクを回避する「新・起業法」 ウォーカー・デイベル https://www.amazon.co.jp/dp/4408339768/ref=cm_sw_r_tw_dp_66KWMSMMKZEFB6JMJBNC @amazonJPより

原題は「Buy Then Build」で、ゼロからで事業を立ち上げるよりも、すでにある会社(もしくは事業)を買い取って、その土台の上に立ち上げていくという考えです。スタートアップの大半(この本によると93%)が失敗するなかで、買収起業によって成功確率を上げていくことを目指しています。

私は、ECコンサルティングを長年手掛けていますが、一方で、M&Aアドバイザー(メインはITと製造業)でもあります。実は、コロナを契機に一気に増えてきているのが中小・個人規模の売り案件で、今後はますます加速していくでしょう。

M&A、特に中小M&A(個人事業者も含む)というのは、人口減少、超高齢化の難しい時代を迎えるにあたって、今後活発になってくるであろうと見込まれていたものが、コロナで一気に押し寄せてきた感があります。「DX」界隈の流れと同じですね。そのため、これを後押しする税制や、表明保証違反(表明した事実とは違ったことが発覚すること)による損害を防ぐ保険まで登場しています。いわば、M&A推進は国策と言ってもいいと思います。

『300万円で小さな会社を買いなさい』

少し前、こんな本も話題になりました。

サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (講談社+α新書) 三戸 政和 https://www.amazon.co.jp/dp/4062915189/ref=cm_sw_r_tw_dp_47WGH8GPA5YGPFRGQNM0 @amazonJPより

これは実にわかりやすくM&Aについて書かれている本で、サラリーマンの副業であっても、独立する人であっても役に立つ考え方だと思います。

これまでやっていた事業の「のれん分け」ならまだしも、信用も実績もゼロの状態から事業を立ち上げるのは、結構な時間とエネルギーが必要です。その間、食うに困らない資金はもちろん、折れない心も必要です。ベンチャー企業は5年後15%、10年後6.3%、20年後は0.3%しか生き残らないといいます。様々な現実に心が折れそうになることなんてしょっちゅうで、そんな厳しい確率を上げるために、最初から実績のある会社や事業を買い取るという選択肢です。

生存確率を上げるためのM&A起業

中小企業の倒産は、物理的な退場ではなく、ほとんどの場合が心が折れた結果だと思われます。特に手形決済などをしていない場合、強制退場(メイン銀行の口座凍結など)のケースは少ないでしょう。

やってもやっても、お客さんが増えない。なかなか実績が積みあがらないなかで、資金が尽きそうで銀行に行くと「実績がない」と言われ、わかっとるわい!と。そんな経験の一回や二回は誰でもあるのではないでしょうか。でも、貸す側の立場で考えると、そりゃ貸せんわなと納得したり。

銀行って、会社にとっては大切な存在ではありますが、信用すると痛い目に合う相手でもあります。私はこの手の話は山のように事例を知っていますが、基本、どれだけ担当者や支店長がいいこと言ったとしても、相手はこちらを信用はしていません。何かあると、一夜にして別人のように掌を返します。彼らも、よほど社内で追い込まれるのだろうと思いますが、その変わり身は銀行員の出世のための必須スキルだと思います。

ただでさえ孤軍奮闘戦っているときに、そういう経験をすると、もう心が折れるんですね。それが、この生存確率の低さの一因だと思います。

あと、個人保証という日本独特の問題も大きいですが、ここではテーマがずれるので深堀しません。だいたい、法人は法律上有限責任ですが、そこに個人保証を当たり前のように入れて、法律を有名無実化する風潮は、ベンチャー育成のためには百害あって一利なしです。銀行を守るため”だけ”の制度です。銀行に融資を依頼する際は、ぜひ個人保証抜きで借りてください。それは現状ハードルが高いですが、それができるようになるまでは、クラウドファンディングとかいろんな調達方法があります。特に、画期的な商品を開発する資金が必要ということなら、クラウドファンディングは有力な選択肢です。

閑話休題。そんな生存確率の低い起業において、その確率を上げることができるのは、すでにある会社や事業を買収することです。(ここで「会社や事業」と分けているのは、M&Aには会社を買い取る「株式譲渡」と、その事業のみを買い取る「事業譲渡」の2種類があるからです。)

例えば、自己資金300万円で起業するとしましょう。最初は自宅オフィスなので家賃は不要。でも、当然会社登記に最低でも数十万円、電話、コピー機(必要かどうかわかりませんが)、自社サイト、場合によっては広告費と、そう考えたら300万なんて右から左のムーディー状態です。であれば、上記の書籍にあるように、300万(これはもちろん「手が届く範囲の金額」という意味のメタファーです)ですでにある会社を買い取る方が、立ち上げはスムーズにいく可能性はあります。

もちろん、債務超過で膨大な借金+個人保証もあり、多額の役員借入とか変な株主がいる(表面上わかりにくいですが)とか役員の私的流用が酷いとか、その割に売り上げの基盤がぜい弱とか社員の定着が異常に悪いとか、そんな会社もたくさんありますから、何でもかんでもというわけではありません。ポジショントークではないですが、そこはアドバイザーを付けるのが無難でしょう

変な会社をスクリーニングして、自分がやりたいこととマッチする、シナジーをイメージできる会社があれば、ぜひ検討してみてください。今は、バトンズやトランビ、ビズリーチサクシードなど、M&Aのプラットフォームもたくさんあります。まずそこに会員登録して、大量にある売り案件を眺めてみてください。M&A起業は、普通に選択肢としてありだなと実感できると思います

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