そこに物流はあるのかい?個人造園業の物流事情 #0097
わたくしは個人で造園業を営んでいる関係で、とにかく植物の物流をどうする!?ということを日々考えているのです。
宅急便で送れるサイズは良いのですが、庭木に使うようなでかいサイズってどうやって運んでいるか、みなさんご存知でしょうか?その辺のちょっとマニアックな物流事情を書いてみたいと思います。
以前、農業の会社でトマトを販売していたことがあったのですが、とにかく農業も物流が命!とにかく何につけてもとにかくロジ!物流を捕まえることって大事なんですよねー。
わたくしは、山から木を運びたい人
さて。みなさん、まず庭木って元々どこにあるかご存知ですか?実は、木は山にたくさん生えているんです(当たり前だ)
で、「生産者」と呼ばれる人たちが、山で(平地にもいるけど、土地があることろね)木を育てているので、その木を運んでくるのです。
ですが、その木も直接山に行ったりする機会はあまりないでしょう。見てもらえる機会がなけりゃ仕方ないので、街中の造園屋など植物のお店などに卸して販売するわけですな。
あとは市場があって、そこで販売されているものを運んでくるわけです。
ちなみに大きな市場はやはり関東にあり、地方の市場の規模の小ささと言ったら駄菓子屋の敷地レベルになっていて、さらにやる気が全くないのでホント使い物にならないのが実情です、、。
市場のものも良いんだけど、やはり樹形が整いすぎてワイルドさに欠けるんだよなー。ということで、山採れを基本としております。
木の生産者は、2、30年先を見越した投資をしている
ところで。少し話題はズレるのですが、これらの「山の産地」というのは、基本生産者さんたちが、自分で植えたものを育てているのです。
山に植えた木を育てるというのはどえらいことで、何しろ目の前の木が20年30年先に商品になる、ということが基本です。
20年30年先の商品を今育てるというのは、投資的な考え方だと思うのですが、物理的な生き物を数十年育てる根気というのは、明らかに他の商売を営む人とスタンスが違うように感じます。
そもそも、代々継いでいかないと成り立たない商売です。なので、生産者さんや造園屋さんというのは、数世代続いているところがほとんどです。
植物というのは面白くて、年数を重ねれば重ねるほど商品として価値が上がっていくんですよね。時間を味方につけられる。本来「価値」というのはそういうものだと思うのです。この辺の話は、前回も書いてますね。
以前お世話になっていた松本の生産者さんは、種からクヌギを育ててましたね
、、2年でようやく30cmくらいの苗になっていました。
これを5年苗、7年苗、10年苗、、のように、年数に応じて育てているのです。(驚愕)
昨年、群馬の生産者さんから、クリスマスツリーを仕入れたのですが、もみの木は種を岩手に送って目出しから幼木になるまで育ててもらって、ある程度大きくなったものを圃場に植えかえているそうです。
英語では苗屋さんを「保育」と同じ意味のあるnursery と呼ぶのですが、その意味がよくわかりますな。
そこにトラック(重機)はあるのかい?
当然、木を運ぶにはトラックで運ばないといかんのですが、ユニック車(クレーンのついたトラックね)かトラック+バックホーで、「吊って乗せる」「吊って降ろす」が必要なんです。
生木って重いんですよね、、ざっくり末口直径(m)*2*長さ=tで求めます(ここに比重が掛かるのですが、ほぼ1で計算してしまいます)。5m規模でも数トン、ここに根巻きの土の重量が加わってくるので、倍以上は重さが掛かるでしょうか。
で、わたくしは樹形の良い山採れの木を好むので、造園屋さんの木よりも一回り大きい木を「山から直接」運びたい。
しかし山形には産地がなく(!)結局、福島、宮城、群馬、長野などに出向かねばならず、この場所までユニック車を走らせて運ぶってのは、時間もコストもかかってしまい(ユニック車は自前で持っていないのでレンタルになってしまう)骨が折れまくるんです。
今までは、自分でトラックを借りて運んでいたのですが、いよいよそのスタイルも厳しくなってきたなー。というのが実情です。
とにかく運んでくれる人をいかに見つけるか!
なので!今年から人に頼んで運んでもらおうとするわけですが、これがまたなかなか見つからない。
そもそも普通の運送会社さんはたいてい箱トラックなので、ユニックを持っていない。じゃあ造園屋さんに、と思うと、同業すぎて渋られてしまう。工務店さんや、他の重量物を運ぶ業者も、専門外かつ遠いからやりたくない、、。
結局自分で運ぶしかないんかーーい!となるのですが、わたしゃ庭を作りたいから運ぶのは任せたいのですよ。
地元の造園屋さんに置いてあるものを仕入れるか、、とも思うのだけど、その妥協を今してしまうと、今後モノを運んでくるときに大変なので、今のうちに物流を繋いでおきたいのですね。
やはり感覚的には、物流会社も手一杯で、人がいない!という問題に直面しているように見えます。
協業して物流をつくって行きたい!
最近は特にオージー系の植物なんかがいい感じなので、この辺の仕入れをうまくやっていきたいのですが、いかんせんやはり運ぶのがなかなか大変。仕入れ先がどうしても遠地(これらは西日本に多い)となると、自分では運んでいられないわけです。
あとは、気に入った石をどうやって運ぶか問題もあったりして、このあたりも物流繋ぎたいですね。
地元の大手造園屋さんに引っ張ってもらうのが簡単だとは思うのですが、大手は新規取引をしたがらないので、結局カタログに載っているような石で良いでしょ?ってなってしまう。
うまく協業できるように、インセンティブつけてやり取りしてくっきゃないと思うので、似たような仕入れをしたい人たちを集めて、まとめて仕入れよう!が今のテーマです。
もう一つ言えるのは、地元の造園屋さんを通して、彼らを儲けさせていくことが必要だとも思うわけです。
地元の造園屋さんは、関東の市場から安く仕入れたものを、安かろう悪かろうで販売してしまっているわけです。そうではなくて、もう少し商品そのものの価値を高めてもらうように、仕入れのハブになってもらって、彼らもうまく設ける道筋をつけたいのです。彼らにも適切に生き残ってもらわないと、自分自身の首を絞めることにもなるしね、、。
とにかく、物流がつながれば安定仕入れができるようになって、より庭づくりにフォーカスようになります。また営業行ってきますよ!
ではでは!