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印象派(浮世絵)はもっとも民主的なムーブメントだと感じていました〜逆転は普遍に到達する⬆️どっちが男の子?

1:  浮世絵と印象派の反転

ルノワールパトロン
シャルパンティエ夫人と
(右)ポール 3歳
(左)ジョルジェット6歳 の 肖像画 ⬆️
「ジョルジュ・シャルパンティエ夫人とその子供たち」
by ルノワール (1878)

え??と思われなかった方
御再読ください
流行最先端のブラック・ドレスを身に纏った夫人と
お姉ちゃんと同じ流行のブルー🫐のドレス
を身につけた
(中央)  3歳の男の子 ポール
可愛いですね🩵

ルノワール「ジョルジュ・シャルパンティエ夫人とその子供たち」

当時、男子は早死する傾向もあったので
女装は魔除けの意味もあったそうです
男の子 体弱いですからね🤱
古くはヤマトタケル牛若丸が敵を騙し討つ呪い
女装を利用したり
男女の境界を自由に行き来する
江戸
文化(浮世絵)に共通する反転
印象派絵画にも見られます

(左)ウシワカマルby 月岡芳年「月百姿 賊巣の月 小碓皇子」
(右) 松本楓湖「牛若」

印象派の絵にはこのような反転
多く潜んでいます

マネ「フォリー・ベルジェールのバー」(1882)

例えば マネの遺作とも言われる
「フォリー・ベルジェールのバー」(1882)
この画内の実物
バーテンダーたる彼女1人
他すべては鏡像
そして
ブラック・ドレスのバーテンダーの彼女も 実は
バーテンダーではなく娼婦
ここは
バーではなくて娼館
すべては
インプレッション=印象
つまり
真実が明らかになるとき、この世界は消える
人生これ舞台
「お気に召すまま」
娼婦らしい娼婦=真実 
は要らないのだ    
               ー川端康成「温泉宿
従って
The purpose of playing is
to hold the mirror up to nature.  (シェイクスピア)
and
An artist doesn’t hold a mirror up to things (ゴッホ)
                ー出典 in前稿ー
この正対は分裂的に 「」を示唆している
自然(現実)=舞台
舞台=現実

次の
ルノワールの『雨傘』 も視点が分裂しています
絵をまずはよくご覧ください


どう見ても 最初に目が行く主人公は
輪郭線も
くっきりはっきり写実的に描かれ目立つ
の女性ですよね?
帽子を被っておらず 帽子は籠に…
つまり 最下層の身分の女性
帽子を運んでいるので小間使いの女性と
見られています

そして

右半分
高貴な母子
上記シャルパンティエ一家に同じく
流行最先端のブルードレスを
母子共に👗身につけ
ふんわり
印象派的に描かれ」
ここに
ルノワールの迷い 心の分裂
描かれていると言います。

2: 浮世絵と印象派の民主性

ルノワールのその
二分された心の分裂を説明するために
ここで
上記マネの遺作を所有する
コートールド美術館 (ロンドン) について
紹介しましょう
コートールド美術館は
レーヨン産業で莫大な富を築き上げた実業家である
サミュエル・コートールド(1876〜1947)が
1920年代から収集した印象派作品のコレクションだ。
1932年にロンドン大学の附属施設である
コートールド美術研究所の美術館として開館
まずは
絵画部門の
キュレーター、カレン・セレスの
次の説明を聞いてください

1920年代から印象派作品の収集を始めた。
当時のイギリスでは、印象派やポスト印象派の作品が高く評価されておらず、
美術館にも収集されていなかった。

美術手帖 マネ、セザンヌら、印象派の名品を網羅。「コートールド美術館展」が東京都美術館で開幕2019.9.9


つまり 比較的安価で購入できたということ
先見の明があられたのですね

カメラのない時代、
絵画は
富裕層の専売特許
その瞬間

自分だけのとっておきの1枚写実 なんて
とっておきの贅沢
そんな
肖像画の需要は 画家の生命線
パトロンを得るためです
写実画を描かない画家は生きてはいけず
パトロンの理解がなければ
技法=印象派風で
描き続けることも画家にはできなかったのです
コートールドの着眼点はすごいのです

コートールドにとって、印象派は誰もが理解できるもの、誰もが親しむことのできる、もっとも民主的なムーブメントだと感じていました

同上

ここで
前稿を思い出してください
北斎の富士の絵「冨嶽三十六景」46枚
広重「富士三十六景」36枚
ゴッホ ひまわりも実は10点以上
あり
私は縦にそれらをバンバン羅列しました
もちろんあるメッセージを込めてです
分かっていただけたことと存じますが
しつこく
もう一度 同じことをします

そうです
アンディ・ウォーホル につながりますよね
民主性 無機質性 記号性 平等性
ボードリヤール
ですね
写実主義的肖像画の「一回性」の解除
→民主性
どの富士が良いともいえない相対性
北斎の富士の絵「冨嶽三十六景」46枚
広重「富士三十六景」36枚
もう一度繰り返します
コートールドの先見の明はすごいのです

マネ、ルノワール、モネ、ゴッホ らは
前稿にもある通り 
ほぼ 1870年代から1920年前後
印象主義的絵画を描いていますが
金持ちのパトロンの 
社会の理解なくしては
袋小路だったのです
だからルノワールでさえも
写実画に戻ろうか
印象画を描き続けようか
心が引き裂かれた
のです

考えてみてください
1853 日本開国
浮世絵が海外へ
1870年代から印象派画家たちが描き続けて
50年💦

1920年代になっても
コートールドによると
まだ評価が得られてなかったのですよ
50年以上社会承認されないものを
描き続けられますか???
例えば20歳から始めて
70歳になっても仕事にならない何かを…?
あなたは続けられますか?
世間がホーホケキョという時に
一人でコケコッコと50年言い続けられますか?
ユニバースが🌍ぐるりと反転したのです
理解が得られなくとも無理はないです
日本でも同じ反対のことが起こっていました

3: ユニVerse (回転)  写生は東に 浮世は西に↩️ユニバーサル=普遍へ

🇫🇷心に映った印象を形にする
 主観(印象)主義的 浮世絵 が
 西洋にエクスポートされ 
 西洋で絵画革命が起き
 古典=写実
 ➡️印象派 Impressionismが生まれ
 世界が引っくり返ったのに同様

🇯🇵絵画における西洋の古典=客観(写実)主義が 
 日本()にインポートされ
 正岡子規が俳句革命を勃発
 主観(印象主義)→客観(写生)主義への変革に
 苦戦していました
 リアリズムは
 日本人好みではないようです

前稿で
菜の花や 月は東に 日は西に (与謝蕪村)
にかけて
ユニバース 
写生は東に 
浮世は西に 
詳細を語りましたが
Uni  単数 ➕ Verse  
世界  は  回転する 向きを変える 

➡️ 普遍 (ユニバーサル=universal)
世界は一つ=Uni  に到達する

Universeが反転
➡️フランス🇫🇷でその後人気が出た
浮世絵進化版=印象主義的絵画が
日本にre-import 逆輸入され
ユニバース(世)
Verse 回転して
ユニバーサル(普遍
)に このように
到達⬇️⬇️⬇️

黒田清輝「朝妝(ちょうしょう)」消失
黒田清輝「読書」東京国立博物館所蔵
黒田清輝「舞妓」東京国立博物館所蔵
黒田清輝「湖畔」黒田記念館所蔵
児島虎次郎 「和服を着たベルギーの少女」大原美術館

ユニバースの傾向が似てきましたね

4: みんな違って みんな一緒❣️

歌川広重「富士三十六景」
(右) 喜多川歌麿寛政三美人
(左)アンディ・ウォーホル「マリリン・モンロー」
ルノワール「ジョルジュ・シャルパンティエ夫人とその子供たち」

みんな違って
みんな一緒
❣️❣️❣️

印象派(浮世絵)は
誰もが親しむことのできる
もっとも民主的なムーブメントだと
感じていました
by コートールド (括弧内 著者added)

前稿もどうぞ😘

正岡子規 俳句革命については
以下 前稿と次稿を参照ください

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