1年前も同じことをしていた
スーパーの前に停めたことを忘れ、私の自転車が回収されてしまった。昨日はそれを引き取りに行ったのだ。実は昨年も同じことをしていて、noteを確認したら、なんと全く同じ日だった。
もう、自分のバカさが嫌になる。私はまた去年行った保管所へ行って係員さんに謝り、去年と同じ額の罰金を払うのだ。
電車に乗り、駅から歩いて約20分。保管所に着くと2人の年配の係員さんが対応してくれた。私の自転車は4日ほど前に回収されていて、ちゃんと私を待ってくれていた。
「これ、鍵が差しっぱなしになってるじゃない!」
片方の係員さんが驚いて言う。最近、鍵穴が錆びてきたのか、うまく鍵が抜けないので差したままにしてしまっていたのだ。とりあえず、2人は保管所の入り口の方まで自転車を移動させてくれ、私は手続き書に記入をし、罰金を払った。
スーパーの前に自転車を停めていた間に、通りすがりの酔っ払いが入れたのだろう。前カゴにはサワーの空き缶が入っていた。
「これ、捨てちゃっていいよね?」
1人の係員さんが空き缶をゴミ箱に捨ててくれた。
「まずは空気を入れなきゃだな」
ペタンコになった後輪を見て、もう1人の係員さんがタイヤに空気を入れてくれる。例の鍵穴にも油をさしてくれて、鍵は無事、抜けるようになった。2人ともとても親切で、手際が良かった。
「ちょうど1年前にも回収されて、私、ここに自転車を取りに来たんです」
そう言うと、係員さんたちはちょっと呆れていた。
「そりゃ、自転車くんが可哀想だよ。あなた、もう2度とここに来ちゃダメだよ」
なんだか、刑務所から出る人になった気分だ。私は2人にお礼を言い、保管所をあとにした。
自転車をこぎながら、私はちょうど1年前の自分を思い出した。去年の今ごろ、私は定職に就いていなかった。今はちゃんと就職して、しかも、憧れの出版社で働いている。しかし文章の腕はあまり上がっていないし、自転車を放置して回収されてしまうあたり、なにも成長していない。もっと成長を感じられるような自分になっていたかった。
まさか「放置自転車の引き取り」で、自分を定点観測するなんて思いもしなかった。あと1年で、私がどれくらい成長できているかは分からない。少なくとも、保管所に自転車を取りに行くようなことは2度とないようにしたいと思う。