SFの夏
暑い、暑い。連日、暑い日が続いている。まだ6月なのに、この暑さはどう考えても8月の初旬だ。
私が小さい頃は、ここまで暑くなかった。同じように思っている人は多いのではないだろうか。
30年以上前、我が家の夏は扇風機だけで乗り切っていたし、小学校の教室にクーラーなんてなかった。高温になった地面からの距離を考えると、大人よりも子供の方が過酷な環境にあるはずだが、そんな子供時代よりも今の方がよっぽど暑く感じられる。
「昔より暑いよね」という会話は、今に始まった事ではない。私の記憶の中では、少なくとも20年前には、そんな話をしていた。それはまだ「地球温暖化」という言葉が、現実味のない、SFのようなイメージを帯びていた時代である。
その頃、軽井沢の喫茶店で「年々、暑くなってるね」と言った父に、店主は、「確かに暑くなったけど、人の『想い』が余計暑くさせてるんだよ」なんて言っていた。「暑いな暑いな」というみんなの気持ちが、最近の夏をさらに暑く感じさせているのだ、と。
それから20年経った今、暑さは人間の気持ちで説明のつくレベルではなくなったし、地球温暖化も完全にSFではなくなった。このままさらに20年経ったら、世界はどうなっているのだろう。
地球滅亡とか、暑くなり過ぎた地球から脱出して火星に移住とか、ますますSFがSFでなくなった未来が待っているのかもしれない。
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