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あと10センチ

身長が150センチにギリギリ届かない私にとって、小さなライブハウスで演奏者がばっちり見えることはまずない。もちろん最前列で見れば別だが、いちばん前に行けるとは限らないし、せっかくライブを見に行っているのだからステージ全体を視界に入れたい気持ちがある。

そんなわけで、大抵は、客席フロアの中ごろに陣取る。だからいつも、前方にいる人たちの頭が揺れて、ステージ上のアーティストが気まぐれのようにちらりと垣間見られるチャンスをつま先立ちして待つのだ。もしも私があと10センチ背が高ければ、きっと違う世界が見えるのだろう。

先日、LIQUIDROOMにAJICOのライブを見に行った。まわりにいた人によると、曲の終わりごとに、ベンジーが「ブン」とギターを鳴らす姿がものすごくカッコいいらしいのだが、私には全く見えない。音が聞こえるだけでも幸せなのだが、そう聞くとすごく見てみたくなってしまう。つま先立ちをして、首を伸ばしていたけれど、結局「ブン」を見ることは出来なかった。

どの曲も最高だった。でもまた行くとこがあれば、次回はやはり最前列だろうか。また絶対に行きたい。

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