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寒さが近づき、おしゃれが遠のく。

昨年の秋の引っ越しを機に、気に入ったものだけで部屋の中を満たすことを徹底してきた。鍋つかみ、カーペット、テーブル、証明、毛布、時計……私が好きな北欧テイストのものが多く、視界に入るだけで嬉しくなるものばかりだ。

安易に買って後悔をしないように、最低でも3日は悩んでから購入を決めた。その効果もあり、自分で言うのも何だが、部屋の中は私史上最高におしゃれになりつつあった。(お察しの通り、この表現をしている時点で私はおしゃれではない。)

が、しかし。

私は今日、築き上げてきたその砦の壁を崩してしまった。あまりの寒さに耐え気入れず、純和風の「はんてん」を買ったのだ。

最近、日中のテンションが全く上がらない。朝晩、自宅の部屋が寒いことが原因だとは薄々感じていたのだが、先日実家に泊まった際、それは確信に変わった。

実家には部屋着としてはんてんが置いてあった。少し肌寒かったので羽織ってみたところ、感動するほど暖かかったのだ。考えてみれば、ワタ入りの布団を着ているようなものだから、当たり前と言えば当たり前だ。もしこれが、寝起きのベッドサイドに置いてあったらどんなに幸せか。むしろ起きるのが楽しみになってしまうのではないかとさえ思った。

インターネットで、せめて部屋の雰囲気に合いそうなはんてんがないかと探してみたが、どれもしっくりこない。意外だったのは、現代風や洋風にアレンジされたものはあまりおしゃれに見えず、むしろ純和風の、昔ながらの色や柄のものの方が可愛く感じられることだった。とはいえ、やはり私が求めている方向性とは異なる。

いずれにせよ、私には時間がなかった。明日からまた1週間が始まる。早く暖かさを手にいれ、万全の体制で出勤したいのだ。

結局、百貨店に行き、はんてんを購入した。近所で買う手もあったが、電車で外出していたため、家に戻る頃には商店街の店は閉まっていることが予想された。

「おしゃれには我慢が伴う」というような話を聞いたことがある。私だって、4ヶ月前にここに越してきた時は、我慢する気満々だった。しかしやはり、生存本能には勝てない。

さっそく今、今日買ったはんてんを着てこのnoteを書いている。思った以上に快適だ。

暖かさと引き換えに、おしゃれを手放したが、おかげで明日からも何とか生きのびられそうだ。

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