"同志"について
NHKで放送されている、『ソーイング・ビー』という番組が好きだ。
イギリスBBCの「裁縫コンテスト番組」である。出場者は、各地から集まった“裁縫好き“たち。色とりどりの生地や糸、素材が並んだ部屋の中で、毎回発表されるテーマをもとに、制限時間内に課題を完成させる。年齢も、性別も、キャラクターも違う彼らが、それぞれに同じ課題に取り組む姿は実に面白い。
私は、彼らの「わちゃわちゃ感」が大好きなのだ。制限時間のカウントダウンが始まれば、会場内はもうパニック。「間に合わない!」「どうしよう!」「大変!逆に縫ってた……」などの叫び声が飛び交う。
事前選考で選ばれてはいるものの、出場者たちの得意分野やレベルは様々だ——センスは抜群だが、自分の興味のあるお題以外ではモチベーションが下がる者、「パンクファッション」というテーマのもと、多くの出場者が思い切った裁断やデザインをする中、いつも通り綺麗にミシンがけをしてしまう者。
ライバル同志とはいえ、出場者たちは、いがみ合ったり蹴落とし合ったりはしない。難解な型紙を一緒に読み解いたり、互いの作品の素晴らしさを讃えあったり。勝ち抜き形式なので、毎回脱落者が出ていくのだが、彼らの間には、確実に"同志"としての絆が生まれている。
彼らを見て、私はある"同志たち"の姿を重ねていた。今年の7月から、私は古賀史健氏が講師を務めるライターの学校「バトンズ・ライティング・カレッジ」に通っている。月に1回出される課題。締め切りは23時59分。場所は違えど、32人のクラスメイト達が、それぞれにメールの送信ボタンを押すギリギリまで、最善を尽くそうとする姿を想像する。きっとみんなも、私と同じように、心の中で叫びながら課題に取り組んでいるのではないだろうか……。
授業は残り2ヶ月。ここでの出会いが、来春以降、そしてこの先の人生の中で、どのような形になっていくのか、楽しみだ。定期的に、勉強会ができるようになったら面白いな。