あと1ミリ
バトンズの学校に行くまでは、「この程度でいいだろう」というぐらいの感覚で、文章を書いていた。語呂を合わせるためだけに置いた言葉、見た目のバランスのためだけに入れた一文。それらにより、一見もっともらしい文章が出来上がる。しかしそんな原稿は、一流ライター・古賀史健には通用しなかった。
自分が本当に理解した上で書いたものなのか、原稿の中で「嘘」をついていないか——古賀さんには全てお見通しだった。
文章を構成する一語一句、全ての要素が、そこにあるべくしてある。それが「プロ」が書くべきものなのだと分かった。とりあえず余白を埋めるためだけに文字を並べることも出来るけれど、故意にその道を選ぶのはタブーだ。
「うー。……書けない!」と思う日は何度もあるし、論の軸を考えるのが億劫になることもある。でも、そこをなんとか踏ん張って、出来る限りの力を振り絞らないといけないのだと思う。
「あと1ミリ」の努力をするかしないかで、1年後の自分の姿は違うと思うのだ。