それでも、咲いている。
今日、初めて「梨の花」を見た。
郊外にある親戚の家に向かう道の途中で、伯母が私に教えてくれたのだ。
そのあたりは梨の栽培が盛んだという。青いネットで囲まれた一角に、雨に濡れた梨の木々が並んでいて、たくさんの白い花がついている。見た目は大ぶりの桜のような、ふんわりと優しい印象の花だ。
「梨にも花が咲くのか」なんて感心してしまったけれど、まあそれは、当たり前といえば当たり前のこと。普段私は、梨を丸い実の姿でしか認識しておらず、その幹に花が咲くことも、種から地表に初めて顔を出す姿も、全く想像したことがなかった。
日常的に見ている他の植物にしても、花壇に生えているものを花として認識し、畑に生えているものを野菜として認識しているけれど、どちらも等しく生命なのであり、芽を出し、花を咲かせ、実がなる。こちらが何を思おうと、どんな目で見ようと関係なく、ただただ、己の命を生き続けている。
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