「アクティビティ義手」が生み出す笑顔と未来
日本で毎年生まれてくる赤ちゃんは約100万人程度。昨年末、その数字が急減し、86万人になったというニュースがありましたね。
その中で、生まれつき手や足に障がいを持っている赤ちゃんが毎年400人ほどいるそうです。
他は健康そのものなのに、手や足に障がいがあるばかりに、体育の時間はオール見学。それを「どうにかしたい」という女医さんが、東京のある切削工具のメーカーさんに相談にこられました。
手先具(運動用義手部品、アクティビティ義手)を開発し、他の子供たちと一緒に体育の授業を受けさせたい。鉄棒や、跳び箱を楽しんで欲しい。
通常、年間1万人というユーザー数だと、ビジネスにはならないので、一般企業は参入してこないそうです。女医さんの話を聞いてその熱意に共感した人たちが集まり、オールボランティアで開発が始まりました。
手先具は洋服と同じで、大きくなったら取り替えなければならないそうです。さらに用途によって使い分けが必要です。そこで、製品の開発だけでなく、コミュニティを作って、手先具を貸し出す仕組みを作りました。
現在では、一般社団法人を立ち上げるまでに至ったそうです。
この活動は、2019年度Medtecイノベーション大賞を受賞。
「お恥ずかしい話ですが、私は最初、障害を持つ子どもたちは(義手を)隠したいと思うのでは、と思っていたんです。ところが、義手をつけて跳び箱を跳んだ子どもたちは、『見て見て!これのおかげでできたんだよ!』と嬉しそうに見せに来るんです。やってみて、子どもたちの気持ちが初めて分かりました」
「使用の少ない市場で、是非お役に立ちたいと思ったのは、人としてお子さまの心と身体が形成される大切な時期だから。医療に携わる企業にはこのような精神と覚悟が必要だと思っています」
開発を担当された方がおっしゃっていたことが印象的でした。
今日は、その切削工具メーカーさんを訪問し、色々とお話を伺うことができました。ぜひ製品と一緒に、この活動を広げ、子どもたちの未来に繋げられたらと思い、ささやかながら紹介させていただきました。