
娘へ
結局、人生はどう頑張っても100年しかない。
何を作ろうが、誰を愛そうが、たったの100年だ。
宇宙がため息一つつくまでもなく、一瞬で終わってしまう。
そんな中で、一体何をそんなに急いでるのだろう。
いくら大きな声で語っても、宇宙全体を変えたりはできない。
1年も10年も、宇宙時間から見たら、たいした違いはない。
アリの大きさも、人の大きさも、宇宙規模から見れば大差はない。
そんなちっぽけな私たちが、身を寄せ合って生きている。
一人では空想すらできないのに、多くの人の力で、
すごいことが出来てしまうことだってある。
個人個人の能力を足すんじゃなくて、掛け算したみたいなことが。
一座建立。
文化の創出。
結局、その時共有された経験だけが生きながらえる。
人一人分の人生を超えて、何世代にも受け継がれ、つながっていく。
私たち一人一人は、経験をつなぐ鎖の輪っかみたいなものだ。
一人一人、輪っかを切らさず、きちんとつなげていくという
役割を持っている。
どこかで切れて仕舞えば、経験は簡単に消えてなくなる。
誰もが等しく責任重大。
豆粒みたいでも、一息でも、
しっかり丈夫に生きていかなくっちゃね。