よそもので一番無名なディレクターが芸術祭をやることになりましたー「科学と芸術の丘2021」開催
毎年、まだすごく暑いのに暦は秋に近づく頃合い、そわそわしてくるこの一大イベント。
こんにちは。omusubi不動産のジャズ担当・せっきーさんこと関口です。
(趣味が高じてプライベートでジャズを演奏したり企画したりデザインなんかをしています。omusubiには二足三足のわらじを履いて、お仕事も自己表現も楽しもうとする欲張り屋さんがたくさんいます。)
この度、2018年から松戸市が主催する国際芸術祭「科学と芸術の丘」を、いろんな方の協力があり今年2021年も開催できることになりました!!
■科学と芸術の丘:http://science-art-matsudo.net/
※omusubi不動産は運営組織「0!(ゼロファクトリアル)」のメンバーです。
街の不動産屋がなぜ国際芸術祭を行なっているのかは、代表の殿塚の過去記事を読んでいただければと思うのですが、今年はちょっと早めに開催宣言と今年のテーマを発表させていただきました。
今年のテーマは「Open City -触発する街-」。ここに至るまでや今までの経緯について私目線で少しご紹介ができればと思います。
なにかが変?な街「松戸」
私はそもそも松戸生まれではありません。ひょんなキッカケとタイミングが重なり、人からomusubi不動産をご紹介していただきました。自分の仕事でやっていきたい方向性と重なる部分が多く、偶然に松戸にご縁ができました。まさに2018年このイベントが始まるタイミングで参画したのですが、最初っから「なにかが変」。
なぜか不動産屋が芸術祭をやっている。メディアアートの最先端機関であるオーストリア・リンツの「Ars Electronica(アルスエレクトロニカ)※」が協力してくれている。会場が徳川家の国指定重要文化財「戸定邸」。
そして、最先端のメディアアートの準備しているのになぜか街中の川沿い、地べたでいい大人達が付箋を使ってみんなでタスク出ししてる…。。。
スタッフかと思ったら誰かの友人が隣で手伝っていて、入居者さんや市役所のみなさんも一緒に汗をかきながら走り回っている状況。まあまあ大変なのにケラケラ笑ってる現場。…いや、たまに誰かの顔から血が引くことも笑。何もかもが手探り&手作り。やったことないけど全てがDIY(Do It Yourself)。
宿場町の文化「一宿一芸」の松戸
東京から近い地方都市という土地柄か、歴史も深くありながらすごく人の出入りが多い印象のある松戸。知れば知るほど、徳川の時代から最近の昭和平成まで、先人の人たちの功績というものに圧倒されます。
芸術祭の会場になっている戸定邸は、最後の将軍徳川慶喜の弟、水戸藩最後の藩主である徳川昭武さんが当時最先端の造園技術を使って作った素晴らしいお庭が残る場所。
13才の若さでパリ万博に渋沢栄一らと行って受けた刺激というのは相当なものだったはず。(ちょうど今NHK大河ドラマ「青天を衝け」で絶賛やってますね!うちにテレビがない!)10代前半でコーヒーを飲んで美味しいって言えるのすごい。
現代ではMAD Cityさんや、アートインレジデンス※のPARADISE AIRさんなど、松戸に関わる前から知っていた人たちが身近にいて、何かしらで一緒に関われることが嬉しく、今は「科学と芸術の丘」を通じてさらに以前から街を広く長くみて活動されている方を少しずつ知り、実際にご挨拶に伺わせていただいたりしています。(まだ全然お会いできてない方が多いですが少しずつ・・・!)
※アーティスト・イン・レジデンス(Artist In Residence)とは、芸術家に一定期間、滞在場所と制作場所を提供し、移動と制作活動を支援する取り組みのこと。
■PARADISE AIR:https://www.paradiseair.info/about/
特にPARADISE AIRのコンセプトとなっている、松戸が宿場町だった時の「一宿一芸(宿代の代わりに一芸を披露する)」という文化が好きで、何かを創る・表現する人の支えになれる(かもしれない)活動に関われることが嬉しく思います。長くみたら自分がやりたいことに繋がっていくような気がしています。
新しい取り組みを楽しみ、変化に寛容な街
大きな大きな協力パートナーである「Ars Electronica(アルスエレクトロニカ)」。
まさか世界的に有名なメディアアートの最先端機関であるアルスのみなさんと一緒に海外プロジェクトを進めることになるとは奇跡的かつとても光栄なことです。
昨年から「MTGに時差があるんだ!」という初歩的なところから手探りで進め(共同ディレクターとして昨年から全体に関わる立場に入らせていただいています)、現地からとても大きな心でサポートしていただいている、清水陽子さん、小川秀明さん、そして1年目インターンとして関わってくれて今文化庁のプログラムでアルス側からサポートしてくれている蒔野真彩さんがいてくれます。
昨年はアルスエレクトロニカ総合芸術監督 Gerfried Stockerさんとも直接お話させていただいたりと貴重な経験をさせていただいています。
一緒にプロジェクトを進める上でいろいろ文献や記事なども読ませていただいていますが、
アルスのみなさんの「Open」という言葉の使い方を紹介している記事があったのでご紹介。
リンツの人たちが「オープン」という言葉を口にする時、そこには立場の異なる人々への「寛容さ」だけではなく、未来の変化をポジティブに受け取り、楽しもうとするマインドをも含んでいる。アルスエレクトロニカがこの街に生み出した最大の成果は、この「未来の変化にオープン」な生き方ではないだろうか。
『アルスエレクトロニカの挑戦: なぜオーストリアの地方都市で行われるアートフェスティバルに、世界中から人々が集まるのか』鷲尾和彦(2017年)学芸出版社 https://www.huffingtonpost.jp/2017/06/14/ars-electronica_n_17090984.html
これを読んで、私がこのイベントを通じて見てきた松戸だ!と驚きました。オーストリアのリンツに行ったことのあるアーティストの方が「なんとなくちょっと似てるんだよね」と言ってくれたことを思い出しました。ドナウ川を挟み大きな都市に隣接する地形も、何か近しい感覚を生み出す1つの要因になっているのかもしれません。
最新テクノロジーだけじゃないイノベーション
2020年にアルスエレクトロニカの招致アーティストとして参加いただいた、市原えつこさん。「会期前日に運営メンバーが笑顔な現場はレアですね。Good VIBESですね!!」と言っていただけたこと、また昨年はプライベートで会場に足を運んでいただいたことがとても嬉しかったです。
そう、なぜか結構な大変さがある中関わるみんなが笑顔な現場。そこに何かコツとかTipsがあるのではなく、おそらく「関わる人」で出来上がる唯一無二の環境なんだと思います。ボランティアで参加してくれているサポートスタッフさんが楽しんでくれている様子を見ると、感謝の気持ちとともに「私も同じくらい楽しまなきゃ損だな」と思えたりします。
※素晴らしいアーティストさんの作品やプログラム、戸定邸の環境に運営側で携われることができるサポートスタッフは今年もまだまだ募集しております!
そんな中、今年のテーマをアルスエレクトロニカのみなさんと考える際に、
イノベーションは、最先端のテクノロジーだけが生み出すものではありません。人と人のつながり、コミュニティ、育まれる文化、そうした手触りのあるあたたかさや自然との調和のなかにこそ、次のイノベーションを起こすクリエイティブなエネルギーが眠っています。(aboutページから抜粋)
と、最先端のアートやテクノロジーを扱うアルスのみなさんが言ってくれたことがまず嬉しかった。次に、この場所松戸でやることの意義や、なんとなくわかってはいるこの"感じ"を言葉にするときに、特にomusubi不動産の周辺の具体的な人たちを思い出しました。
誰かが何かをしようとした時に、「こんな人がいるよ」「今度これやるから手伝ってみない?」と背中を押してくれたり、「やってみたい」と手を上げれる環境。そして、たとえ失敗したとしてもその挑戦を讃えてまた再スタートを切れるセーフティネットがある。少しお節介なところがあるけれど、適度な距離感で付かず離れず、支えあう関係性が今まで松戸に暮らす方々が少しずつ積み上げてきた実績がある。それらをイベントで顕在化できないか。そして欲を言えば、そんな誰かの営みがさらに誰かのきっかけを偶然に引き起こされたらいいなと思い「触発する街」とサブタイトルをつけました。
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少しと言いながら長くなってしまいましたが、松戸の街の特殊性や個性についてはいろんな人のいろんな見解があると思います。現時点での私の意見としては、誰かが先頭を走って引っ張っていくのではなく、変化を前向きに捉え、みんなで作る・作れることがすごく大きい価値だと思います。芸術祭のディレクターと言ったら、著名な方々が名を連ねる中、無名でよそものの私が関わらせてもらえることがひとつの証明だとも思います。
最後に、こういった取り組みを主催する松戸市のみなさん、今までの活動の上にこう言った土壌ができていること、またこういった新しい挑戦的な活動を文化政策の1つとして一緒に取り組めることにとてもありがたい気持ちです。本年度の「令和3年度施政方針」では本イベントについても松戸市長から言及いただきました🙌
ぜひ、この祭りを一緒に楽しんで触発し、されていただけたらと思います。少しずつプログラムやお声がけ(発信)等をさせていただきます。ぜひチェックしてください!
■公式サイト:http://science-art-matsudo.net/
■Facebook:https://www.facebook.com/science.art.matsudo/posts/3908591939251293
■twitter:https://twitter.com/sci_art_matsudo/status/1423599150776537095?s=20
■Instagram:https://www.instagram.com/p/CSOvKQ6BmzQ/?utm_medium=copy_link
公式ハッシュタグはこちら
#科学と芸術の丘
#OPENCITY
#触発する街
■カタリストイベント募集
科学と芸術の丘 2021では芸術祭をともに盛り上げていく”街中で何かを起こす”カタリストを募集しています。詳細・応募は以下よりご確認いただけます。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe5o_XQ-DH-56ZalRqSKwnndW6-lMVj5xQrTgJO39k1DLPPcg/viewform