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分かるようで分からない...固有活性 Intrinsic activityを説明できる?

今回は、薬理学の勉強の中でも初期に出てくる話でありながら、かなり大切なIntrinsic activity (IA)は固有活性や内活性のことについて。

1.固有活性:Intrinsic activityって?

Intrinsic activityは、Drug 薬物Receptor 受容体をStimulate 刺激して反応を活性化させる能力0~1の数字で現す薬物固有のものです。

ただ、これをしっかりと理解するためにまず知っておきたい関連知識は、
Drug 薬物とReceptor 受容体の関係です。

2.Drug 薬物- Receptor 受容体 の関係

2-1.Ag・o・nist アゴニスト

Agonistの語源は、ギリシャ語の「戦いに加わる者、優勝者」。一般英語では【競技や争いに加わっている者、競技者】の意味を持ちます。
生理学的な意味では【作動薬、刺激薬】。Receptor 受容体と結合して、その生理活性を促進する物質を示します。

2-2.An・tag・o・nist アンタゴニスト 

Antagonistの語源は、ギリシャ語の「競争相手」にあるそうです。一般英語での意味は【(敵意のある)競争者、相手】を持ちます。何かが立ちはだかるといったイメージを持てます。
生理学的な意味では【拮抗薬、遮断薬】。Agonistの競争相手であり、同じReceptor 受容体を狙い、Agonistの作用発現を抑制する物質を言います。


大まかなことだけならば、これだけでOKです。
が、そんなに簡単にいかないのです。なぜなら、人間がそうであるように、結合するの物質にもいろいろなタイプがあるからです。


3.細かいAgonistの分類について

①Full agonist 完全アゴニスト
すべての受容体が、Agonistで占拠され、produce full effect 最大の反応を引き起こすAgonistをFull agonistという。

②Partial agonist 部分アゴニスト
Full agonistの最大反応を100%とした場合、どんなにAgonistが多かったとしても、receptor 受容体に結合する能力が弱くて、100%まではいかないというagonistをPartial agonistという。

③Inverse agonist 逆アゴニスト
Agonistとしてreceptor 受容体に結合するのだけれど、Agonist とは全く逆の反応を引き起こすAgonist をInverse agonistという。


4.細かいAntagonistの分類について

〜Agonistの受容体結合に対して競争相手となりうる薬物。

Competitive inhibition (C) 競合的拮抗
Receptor 受容体のactive site 活性部位をagonistと取り合う分子です。
Competitiveの一般的な意味には【競争好きな、競争による】があります。従って、同じactive site 活性部位を取るために競争しているとイメージできます。

②Non-competitive (NO) 非競合的拮抗
Non-Competitive は、Agonistとは異なるbinding site 結合部位= Allorteric site アロステリック部位に結合することでconformational receptor changes 受容体活性部位に構造変化が起こり、indirectly 間接的にAgonistの結合をblock 遮断します。

【分かりやすい例】〜代表的な実験実習より〜

AcetylcholineとAtropineとPapaverineを使った薬学実習を行っていました。ここでの登場キャラクターの詳細は、AgonistがAcetylcholine, Competitive antagonist 競合拮抗薬がAtropine 、Non-competitive antagonist 非競合的拮抗薬がPapaverine。

腸管の平滑筋はアセチルコリンの受容体が存在し、この受容体がAchによって刺激されると平滑筋が収縮します。
ちなみに、アセチルコリン受容体にはニコチン性アセチルコリン受容体(2種)ムスカリン性アセチルコリン受容体(3種)がありますが、これらはそれぞれ、ニコチン、ムスカリンという物質が受容体に結合することで情報伝達が行われるのですが、アセチルコリンはどちらにも結合できます。腸管平滑筋にあるのはムスカリン性アセチルコリン受容体のM2とM3タイプです。


AtropineCompetitive antagonist 競合的拮抗薬でなので、AchとAtropineを同時に刺激した場合、同じ受容体のActive site 活性部位に結合するために頑張ります。Atropineの濃度を上げると、同じ効果(平滑筋の収縮)を得るためには、それだけ多くのAChが必要になりますが、平滑筋のすべての受容体にAchが作用すれば、100%の効果が得られるようになります。

一方で、PapaverineNon-competitive antagonist 非競合的拮抗薬で、AchとPapaverineを同時に使用した場合、AchはActive site活性部位に、PapaverineはAllosteric site アロステリック部位に結合します。Allosteric siteに結合したPapaverineが受容体のactive siteの形を変えてしまうため、Achの濃度を上げてもPapaverineの受容体と結合する量は変わらないし、変形した受容体にAchが結合できない、またはAchが結合できる受容体が減っている。という状況になります。従って、非競合拮抗の場合は頭打ちになる。

5.Intrinsic activity(IA)固有活性について。

しばしば、《α》で示すことが多いです。

AgonistのFull agonist 完全アゴニストはIAがα=1.0です。

Partial agonist 部分アゴニスト0<α<1.0
固有活性が低くて、受容体を占領したとしても、最大の効果を発揮できない。ということです。

Antagonistは完全に拮抗された場合はα=0(ゼロ)になります。

Intrinsic efficacy 固有の有効性は、1つのDrug 薬物が1つのReceptor 受容体に影響を及ぼし、反応性を生み出す能力。

6.EfficacyとPotencyの違い

Efficacy はしばしば【最大効果】と訳されますが、つまり、Drug 薬物とReceptor 受容体と結合したときに、その薬が最も効果的に力を出せる《最大能力》のこと。

一方でPotency は【用量効果】や【効力】と訳されますが、これは薬の量の問題で、効果を示すのに必要な用量のことです。

《参考》

Yamamoto T., Yamamoto S., Osborne J. C., Manganiello V. C. and Vaughan M. Complex Effects of Inhibitors on Cyclic GMP-stiulated Cyclic Nucleotide Phosphodiesterase., The Journal of Biological Chemistry (1983)


*追加で図なども入れていく予定です。

*この記事は、私が日々勉強する中で得ている知識を元に書いています。事実に基づいた作成を心がけているつもりですが、一部で間違いがあったりする可能性もあります。ご了承下さい。

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