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環境を守ることが儲かったら?

「環境を守るのって、すげー儲かるらしいよ」

「今いちおしの業界って、環境系だよね」

もしそんな世の中だったら。

就活生は、きっとみんな環境に関する業界に就職するでしょうね(笑)。

環境保全とは、良いものとは思われていますが、仕事にしようと思う人は多くはないでしょう。
なぜって、儲からないから。
儲けを前提にしないNPOとか、どこかの大企業が、余力でやることなんじゃないの。

そんな固定観念が多くの人にあるのではないでしょうか。

「環境を守ることが儲かる」のモデルになりたい。
そんなことを真剣に考え、起業した方がいます。

株式会社バイオームの藤木さん。
ある広報誌で取材をさせていただいたのですが、とても志の高い素晴らしい御方でした。

「生物多様性」という、ビジネスとしての前例が極めて少ない分野での挑戦。
その一端をご紹介したいと思います。

「環境を守ることが儲かる」のモデルになりたい


子どもの頃から生態系に強い関心があった、代表の藤木さん。

大学院で森林生態学の研究を始め、念願だったボルネオ島での調査活動をした際、熱帯雨林の伐採現場で衝撃的な光景を目にしたそうです。


過酷な労働にも関わらず、現地の人々は猛烈に巨木を切り倒し続けているんです。地平線が360度見渡せるくらい丸裸になった土地を前にした時には、このままでは地球がボロボロになっていくと感じました」

彼らが環境を破壊し続けるモチベーションの源泉は、シンプルにお金が儲かるから。
では、前提を180度変えて「環境を守ることが儲かる」としたら、どうだろうか?

その仮説のもと自分の進む道を考えると、研究ではなくビジネスだと気付いたそうです。

ならば自分がそのモデルケースになろう」と株式会社の起業を決意し、2017 年バイオームを設立。掲げたビジョンは「生物多様性の保全を社会の当然に」。

生物保全がお金を生むという、前代未聞の挑戦の一歩を踏み出したのです。

生き物のコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」


バイオームでは、現在、その名も「Biome(バイオーム)」というアプリを軸に事業を行っています。

「『出会った生き物を集めてリアルの世界を冒険しよう』というコンセプトで、いわば『ポケモンGO』のリアル生き物版です。身の周りの生き物をカメラで撮影するだけで名前が判定でき、レア度に応じてポイントも獲得できます。今まで生き物に興味がなかった人でもわくわく楽しめるものを目指しました」

アプリをつかって、人々が、どんどん生物を撮影する。身の周りの生物の名前がわかるので、おもしろいですよね。

投稿された写真はアプリ内の図鑑に登録されます。

と、ここで一言。
生態系保全に取り組むのって、何よりも「データ」が必要なんです。それも、すごいたくさんの。そう、ビックデータです。

つまり、「Biome(バイオーム)」で生物観察を楽しむ人が増える一方で、リアルタイムの生物ビッグデータができあがっていく。これを、生物多様性保全の研究や活動に生かす狙いなんです。

いいですよね?
だってアプリも無料だし、
それで、環境もよくなるし。
誰も損しません(笑)。

特に、お題の生き物を見つけて投稿し、達成を目指す、「生き物クエスト」という機能がおもしろいんです。

たとえば、「Aという生物と、Bという生物と、Cという生物を探して撮影してください。3種探せれば、ミッション達成です!」といった、環境(生物探し)のイベントに使われるようになりました。

バイオームさんへのイベントの依頼もどんどん増えていったそうです。イオンの店舗が行う森の生き物調査や、JR線の沿線での乗客による生き物探しなど、コラボレーションしたイベント数は300を超し、ユーザー数は85万人を突破しました。

それと、これ、外来種の駆除にも使われてるんです。

たとえば、「クビアカツヤカミキリの目撃情報を求む」と人々に呼びかけて、子どもたちが「見つけた!」と撮影して、投稿する。場所が特定されるので、駆除活動に役立つんですって!



バイオームさんは、2023 年10月に経済産業省が選定した、社会のロールモデルとなることが期待される30社(*1)のうちの、1社にも選ばれました。

今では「Biome(バイオーム)」アプリ以外にも、企業の環境活動の支援など、さまざまな事業(*2)を行っています。東京都との協業事業など、大規模な取り組みも数多く手掛けられています。

「環境保全をすることが利益を生み、ビジネスになる」。
まさにそれを体現する企業になられてしまいました。

とても素晴らしい取り組みをされている企業さんです。
ご興味がある方は、ぜひご覧になってみてくださいね。

(*1)経済産業省が運営するインパクトスタートアップ育成支援プログラム「J-Startup Impact」

(*2)生物調査支援ツール「BiomeSurvey」を活用し、クライアントの事業エリアの生物多様性への影響を可視化・把握するなど、計画から開示に至るまでをサポートするTNFD対応支援や、OECMの認定支援、グリーンインフラの管理・活用支援など。


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