キオクノート #21(最終回) 会社とお店の終わりの話し
最初に。
ハヤマに関わっていただいていた全ての皆様に謝りたいです。何も言わず逃げるように店を閉めてしまって本当にすいませんでした。
ある時突然ココロが折れて全部終わらせる決断をしました。誰にも相談しなかったと思います。2019年2月末の事。そして1年ほど経って何人かに送った経緯を説明した一文があります。
昨年2月に農園で野菜を作ってくれていた祖母が他界し、3月はじめに羽山料理店を閉店して経営していた株式会社ぺパンを倒産させました。そこから不毛な後ろ向きの手続きが長くありずっと気分が晴れない日を過ごしていました。
今年1月やっと終わった裁判所の倒産手続の関係でSNSも全部辞めてしまったので、突然の不義理、申し訳ありません。
今は大阪市内の特別養護老人ホームで料理を作る仕事をしています。40歳を過ぎて再就職はかなり大変でしたが、生活は自営の時より安定しています。
店の方は実は4年前土佐堀オリーブの後半はほとんど赤字の日が続き、店を閉めた頃にはかなり債務超過の状態で、羽山料理店復活で再起を狙ったんですが時すでに遅しでした。従業員に給与も支払えず、打った手が全て裏目に出てしまってうまくいかなかったんですが、ひとりででも持ち堪えて更にチャレンジをという気持ちでした。
しかし、祖母が亡くなり、残された実家の母を見ているといたたまれない気持ちになり、この先未来のこと、収入面のこと、など複合的に考えて即日撤退すべきと判断し、弁護士助言の元倒産を決意しました。閉店の挨拶もままならず重ねて申し訳ありません。
大変遅くなってしまいましたが、ひとまずご報告まで。
畑の師匠、祖母の死は悲しく、見送る母の背中は小さく、喪主である自分はさらに小さい存在に思えました。踏ん張って頑張ればなんとかなると思っていたけど全然頑張れてなかった。しょうもないプライドや世間を気にする見栄や理想ばかり語っていた結果の出せていないぼくはこのままどんどん小さくなってもう消えてしまいたかった。ここで色々なものを諦めたのです。
倒産は国が認めた再出発の権利ですが、借金を減らす方法は個人再生や債務整理などもあります。ぼくが倒産を選んだのは税理士さん弁護士さんの助言もあったのですが、全てをゼロにしたかったというのが本音。結果としてゼロどころかマイナスのドン底を経験するのですが。
少し経緯を補足していきます。文の中にある不毛な手続きとは、お金がなかったためにまず倒産に関わる費用から工面しなければいけなかったことです。弁護士費用、閉店費用、裁判費用と店を畳むのにもかなりの額が必要に。何回弁護士事務所に通った事でしょう。再就職後も陰鬱な気持ちで毎日過ごしていました。
SNSを全部辞めたのは弁護士さんの指示でもあったのですが、倒産手続きは費用がないと進められませんので、その間に債権の取立てを起こされないため。よく会社の倒産を当日出社して知るとかあるのもこのためです。ちなみに手続きが始まると借金の返済は一切ストップします。近況を知らせること自体辛い精神状態だったのでどのみちSNSは見なかったですが、誰にも相談できず気付いてもらえずとても孤独を感じていました。
飲食店における債権とは受けている融資とか色々ありますが、ぼくの場合買掛金、業者さんに翌月末に払うアレです。コレが精神的にめちゃきつかった。営業が暇な訳ですから仕入額も大きくはないんですが、長年ずっと良くしてもらった仕入業者さんの支払いを踏み倒すわけです。しかも何も言わず電話にも出ず。債権者平等の原則というのがあるので中の良い一件だけ返済するという事はできません。まさに積み上げた信用はゼロに、いやマイナスか。
仕事も決まってないのにひとりで飲みに出たりして、いろんな人の顔が浮かんで来て申し訳なくて泣きそうになったり。就職の面接も何軒も受けるのですがずっと商売してきたおっさんが人に雇われようとしている事にまた泣けてきたり。少しでも時給の高い即日バイトで某球場の深夜の清掃とかやってみたり。その間心配して会ってくれた数少ない友人達にも本音は言えず、その自分にまた悲しくなったり。
裁判所から決定通知を受けたのはハヤマ誕生日の次の日、令和2年1月16日。そのあと前出の文章を何人かに送りました。許されたとも元に戻るとも思っていないけど、とにかく誰かに聞いて欲しくて知って欲しくて。未だ既読も返信もない人もいますが良いんです。やっと気持ちが軽くなった日でした。
ココロのノートに残ってる誰かの名言があります。
「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る」
今この文章を書いている2020年11月現在、想像もしなかった世の中に変貌し未来が見えにくい時代になってしまいました。ぼくは営業が上手くいかない不満ばかり漏らし、努力を怠り大切なものを諦めてしまった事をとても後悔しています。
このキオクノートの出だしを書いた頃、最終回がこんな内容になるなんて事も思わなかった。こんな内容書いて良いものかずっと思っていたけどこんな時代だからこそ残しておこうかと。閉店や倒産を決して進めるわけじゃないけれど、再出発する事も出来るんだ。今のぼくの心境はやるべき事をやり、諦めた事に再挑戦する事もアリなんじゃないかと考えています。何より恩返しが全然終わっていない。自分のルーツを思い返しつつハヤマにしか出来ない事をぼくの未来にしたいなと思っています。
キオクノートとしてはここで終わり。フォローしてくださった方々乱文乱筆失礼いたしました。そして本当にありがとうございました!またぼくの別のnoteでお会いしたいです!