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大局観をもってマーケティング戦略を考えるための「経済指標」との付き合い方
「お、ねだん以上。」で有名なニトリのマーケティング戦略を読み解くワークショップの中で、ニトリの成長要因を考えていました。
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ニトリの成長は、経済の大きな流れを読む力に支えられている?
様々な要因がある中で、「経済・社会全体の流れを掴み、戦略意思決定をする力」こそがニトリの成長を支えていると感じました。
象徴的なエピソードが「リーマンショック時の価格戦略」の意思決定です。
以下は、似鳥会長の書籍からの引用です。
私は「バブルで価格が跳ね上がるときには、もとの値段の3倍が限度」と考えています。そこまで行くとバブルは破裂する。これは古今東西で共通の、人類全体の原理原則です。日本でも1990年に株バブルが、1992年に地価バブルが弾けました。上がれば下がる、下がれば上がる。歴史はその繰り返しです。 これを計数化すれば、未来は予測できます。私は2008年の年初の時点で、「アメリカの住宅バブルは早晩、崩壊し、世界経済は大変なことになる」と判断したので、外債を全部売って、手元資金を厚くし、不景気に備えました。
そして2008年の9月にリーマンショックが起きました。「それっ」ということで、そこから3ヶ月ごとに8回、商品の値下げを行いました。もともと不景気になったら値下げ攻勢をかけるつもりで、そのための原資を用意していたのです。おかげで小売業全体の売上が落ちる中で、ニトリは逆に売上を増やすことができました。
ニトリの沿革を眺めていて、「2008年から2012年に値下げを計12回実施」と書かれています。
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リーマンショックもあった期間によくこんな意思決定ができたな…と思ったのですが、
環境変化を読み解いた上で、2008年に「値下げ宣言」を開始。以降、2012年にかけて値下げを繰り返して他社を圧倒していく準備をしていたわけですね。
大局観をもってマーケットを見る似鳥会長
似鳥会長は、経済予測を毎年公表することで有名です。
自分も似鳥会長の経済予測は毎年確認をしていますが、当たっている年もあれば、外れている年もあります。
学びポイントは予測の精度よりも、
・毎年、自分なりに大局観をもってマーケットをみて予測を立てる
・各指標連動性を踏まえて戦略仮説を立てて、意思決定をする
このような「経済の大きな流れと向き合う考え方や姿勢」だと思っています。
ニトリは低価格戦略を取り続けて成功していますが、
2000年代の デフレが顕著になり、
・物価が持続的に下落は続く
・日本は賃金も上がらない
つまり、値下げし続けるブランドが選ばれる、という大局観をもって戦略意思決定をしてきたのでは?と仮説を考えています。
似鳥会長は、ニトリを一代で築き上げることができたのは、
・大局観をもって市場を観る「鳥の眼」
・顧客行動を詳細まで観察する「虫の眼」
のバランス感覚が優れていた点があると感じており、この視点はマーケティングの仕事で忘れないようにしたいところです。
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大局観をもつための経済指標との向き合い方
ということで、ニトリの分析をしていたこともあり、改めて「大局観をもって思考すること、方法について」を本を読みながら考えていました。
大局観をもつための思考について参考になった本がこちら。