石原慎太郎元都知事の逝去を受けて
一つの時代が終わった気分です。
石原慎太郎元都知事の逝去については、公式サイトにも記事を書かせていただきました。
石原元知事については賛否両論があるでしょうが、①最後まで自民党に復党しなかったことや②ディーゼル規制を始めとする環境政策に取り組んだことは、大いに評価されるべきであると考えます。
また、今話題になっている表現規制についても、人権侵害レベルのポルノが蔓延しているこの状況を見ると、石原慎太郎元都知事の先見の明があったと評価されてしかるべきであると考えます。
石原元知事が自民党に復党されなかったことは、故人が望んだ結果とは異なる形で、今の政界に良い影響をもたらしました。
立憲民主党の前身の一つは旧国民民主党で、その旧国民民主党の前身の一つが民進党です。民進党は民主党と維新の党が合流してできた政党で、その維新の党は石原元知事が代表であった日本維新の会が分党して出来た政党です。
つまり、石原元知事が結党された日本維新の会は、立憲民主党の前身の一つなのです。
もっとも、石原元知事自身は維新の党結党に反対の立場ではありました。その際に故人が結党された次世代の党が最終的に自民党へ吸収される結末であったことを思う時、故人の想いを超えた運命があるようで、感慨深いものがあります。
立憲民主党のもう一つの前身である旧立憲民主党の結党にも故人が好意的に評価されていたことは、特筆すべきことであると考えます。
一方、故人の様々な言動については賛否両論があるのは、当然のことです。
故人についてのマスコミの報道を見ると、賛否両論について報道する以前の問題として、「報道しない自由」を行使したのか、そもそも賛否両論があることすら国民が知らないようになっていることがあります。
故人は一貫して『大日本帝国憲法』の復原・改正論者でした。
そのことについて賛否があるのは当然ですが、これほど重要な主張であるにもかかわらず、現時点で私が確認した限りでは、マスコミ各社は一切この主張の存在について報道していません。
『朝日新聞』から『産経新聞』まで、中には故人に批判的な記事を載せている媒体まであるにもかかわらず、故人の帝国憲法復原・改正論については「称賛」でも「批判」でもなく「無視」です。
中には、故人が日本国憲法改正を主張していたことを(肯定的にせよ、否定的にせよ)報道しているマスコミがありますが、改憲論自体は多くの政治家が主張しているのであって、特筆性の高い情報ではありません。
石原慎太郎元都知事の主張の特筆すべき点は、日本国憲法改正では無く帝国憲法復原・改正を唱えて、むしろ日本国憲法改正派の政治家を批判することもあったと言う点です。
このことはかつてマスコミも報道していましたから、万に一もマスコミが知らないと云うことはありえません。
訃報においてこのような特筆すべき情報を報道しないのは、ジャーナリストの正当性が問われる行為です。
私は別に「故人を一切批判するな!」と言っている訳ではありません。故人は政治家なのですから、いくら批判されてもそれは覚悟の上で発言されているのでしょう。
そして、そのような政治家の言動を正しく有権者に伝えるのがマスコミの責務であるはずです。
私たちは政治家の言動を事実に基づいて判断する必要があります。故人に限らず政治家の言動については賛否両論があるとは思いますが、その内容は、特にその政治家の特筆すべき主張についてはきちんと報道していただきたいと考えます。