「諭」の発音は本来「シュ」!恥ずかしながら知らなかった慣用音
無知の知は大切です。ネット上で「輸入」は本来「ユニュウ」ではなく「シュニュウ」だという記事を読んで仰天し、慌てて辞書を引きました。
なんでそんな記事を読んでいたのか、というと、漢字の音読みについて気になることがあったからです。
漢字の音読みには「呉音」「漢音」「唐音」の3つがあります。これについて、学校でこう習った人はいないでしょうか?
「呉音は呉という国から伝わった音。同じように漢音は漢から、唐音は唐から伝わった音です。」
実はこれ、間違いです。漢字に詳しい方には釈迦に説法でしょうが
・漢の時代の発音が基になっているのが呉音
・唐の時代の発音が基になっているのが漢音
・宋や明の時代の発音が基になっているのが唐音
です。しかも、あくまでも「基になっている」ですから、伝搬の過程で変化もしています。
その上、仏典について調べていると「呉音でも漢音でも唐音でもない発音がある」ということを知ったのです。
実は仏教史学会会員の私、それを聞いて脳味噌が混乱。
「え?呉音でも漢音でも唐音でもない?それ、音読みちゃうやん!」
とツッコミたくなりましたが、中国から伝わった音でも呉音と漢音、唐音のいずれにも分類できない音があるそうです。
さらに、怖ろしいことに「日本人が間違えて伝えてしまった」音もあり、それを慣用音というのだとか。
「そんなアホな奴らがいたのか!正しい発音を取り戻さんといかんな!で、何が間違いなんだ?」
と思って検索すると冒頭の記事を発見した次第です。
辞書で確認しました(『漢辞海』1416頁)。小学校では「ユ」と教えていますが、呉音も漢音も現代中国語でも「シュ」と発音するそうです。
現代中国語は「満洲訛りの唐音」ですから、恐らく唐音でもシュと発音するのでしょう(日本では残っていないのでしょうが)。
無論、辞書の内容も絶対ではありません。特に呉音と漢音の区別は曖昧になっていると、私は感じています。
しかしながら、義務教育で習った音読みに、実は日本発祥の「慣用音」もある、ということは頭に入れておかなければ、と思いました。
学校で習った感じの発音にも間違いはある、「無知の知」は大切なことである、と再確認した次第です。
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