どうして「選択的夫婦別姓」推進派は論理が飛躍しているのか
何度も同じ画像を使っているが、この画像に問題が象徴されているからである。男尊女卑な親を彼女よりも優先する男に結婚の資格など、無いという当たり前の原則を忘れてしまっている方が多いようだ。
件の番組について、「選択的夫婦別姓」(実際には「戸籍婚における選択的夫婦別氏」)賛成の立場から書いているnoteを見つけた。
私は別に執筆者を批判したいわけでは無く、実際に番組を見た方のnote記事が少ないので、取り上げさせていただく。
同じ番組については私も過去にnote記事を書いたが、そこでも書いたように私は当該番組を見ていないからだ。
Tomokaさんの記事を読んで、改めてこの国の問題が浮き彫りになった。そして、それは夫婦同氏が原因ではないことも明白となった。
彼氏の親がただのクズ
他人の親をクズ扱いは良くないが、Tomokaさんのnote記事が正しいとすると、この件は彼氏(高橋さん)の両親がクズ過ぎる。
以下、Tomokaさんのnoteから引用する。
彼女の意思を尊重し、高橋さんは〝神野〟の姓で結婚することを決意する。
しかし、高橋さんのご両親は猛反対。
結婚式も出ないし、生まれてくる孫の面倒も見ない、親子の縁も切るとまで言われたという。
昔の人(言い方が悪いかも知れないけど)からすると、息子が嫁のほうの姓を名乗るということは、やはりひとつ返事ではいかないものであろう。
これをTomokaさんは「昔の人」だからだろうと推測しているようだが、それは違うだろう。
亡き私の祖父は、祖母の名字に改氏した。昭和の時代に、だ。
祖母を愛していたら当たり前である。昭和の時代でもできたことが、令和の御代に出来ないはずがない。
これはただ単に、高橋さんの両親が息子を愛していない、クズであったと言うだけのことだ。
なんでこんなクズ親を押し切らないの?
言うまでも無いことだが、今の夫婦同氏制度は制度上は男女平等だ。彼女側が名字を変えたくなければ、彼氏側が変えればよい。
ところが、この両親は頭が可笑しいのか、こんな反応をする。
父親は断固反対。
なぜ妻が夫の姓に入らないのか、理解できないと話す。
母親も同じであった。
息子へ送ったメールには、ふたりには会いたくないとの文字がそこにはあった。
それが本当ならば、この両親はトンデモナイ毒親である。高橋さんは虐待を受けていたのではなかろうか。
いや、成人になっても恋愛の自由を認めず「会いたくない」と言っているそのことが、一種の虐待だ。こんな親を捨てても法律上は何ら問題がない。
が、高橋さんはそんな、男尊女卑な親の意向を彼女への愛情よりも優先した。
親の反対を押し切ってまで…と考えた高橋さん。
2019年7月、婚姻届は出せないふたりであったが、〝事実婚〟として、住民票で世帯をひとつにまとめた。
いやいやいやいやいやいや、男尊女卑な親の主張は押し切ろうよ!そんなんで彼女を守れるの?それでも男か!彼女を守れない男に結婚の資格など無い!
仮に「両親とも仲良くしたい」が本音ならば
無論、高橋さんの両親もこの一点だけを抜き出せばただのクズだが、良い面もあるのだろう。そうでなくても、高橋さんには育ての親には孝行をしたいのかもしれない。
誰も好き好んで親子喧嘩をしたくはない。親に感謝することは大切だ。
だが、この親との調和は、制度を変えても実現不可能だろう。
「なぜ妻が夫の姓に入らないのか、理解できない」というような頑固親父は、選択的夫婦別氏が導入されても同じことを言うはずだ。
なお、既に述べたように私は「婚姻制度選択制」論者であり、「同一戸籍同氏の原則」が守れられるのであれば、選択的夫婦別氏にも賛成だ。
だが、どんなに制度を整えたところで、この毒親を説得するのは難しいだろう。「親の反応」を理由に「選択的夫婦別氏」を言うのは、論理の飛躍だ。
「日本だけ」と言う理屈だと・・・
なお、よく「夫婦同氏は日本だけ」と言う人がいる。
法務省によると、把握している限りでは今、夫婦同姓の制度を採用している国は、日本以外ないとのこと。
なんてことだ。
日本だけなのだ。
だが、それを言い出すと、そもそも戸籍制度が存在するのは、日本と中国(台湾含む)だけである。
「日本だけだから」と言う主張は、容易に「戸籍制度廃止」と同じロジックになるのだ。その問題は過去に「選報日本」の記事でも書いた。
むしろ、日本だけであるからこそ、守らないといけない。家族国家は日本の根本規範である。
しかし、ここまでだと「選択的夫婦別姓論者は、論理が飛躍している」で終わる話だが、問題はそう単純ではない。
Tomokaさんの記事を読んで気付いた。彼らは、國體否定こそが目的なのである。
結局「反天皇」が本音なのか
Tomokaさんは亀井静香先生の「天皇の子」発言に「度肝を抜かれた」らしい。そこにこの人の本音が凝縮されている気がする。
「みんな天皇の子だから一緒」
いったいいつの時代の言葉だ。
今は令和。戦後何年経っている。
国民が陛下の赤子であるという価値観そのものの否定、これが「戸籍婚における選択的夫婦別氏」を要求する人の本音ではないか、と感じさせるものであった。
無論、そういう思想を持つのは自由である。
だが、「戸籍婚における選択的夫婦別氏」の問題点は、それが他の国民にも悪影響を与える、と言うことなのだ。
日本人全員が「家名」を失う
「戸籍婚における選択的夫婦別氏」推進派が不誠実だと思うのは、反対派の一番の論点に答える姿勢を見せないからだ。
例えば、これである。
「私達が望んでいるのは、別姓でも結婚できる選択肢を増やして欲しいということ。
決して日本人全員が別姓になることを望んでいる訳ではない」
高橋さんはそう語る。
「別姓」ではなく「別氏」だが、既に述べたように「同一戸籍同氏の原則」を維持する婚姻制度選択制だと、誰も反対しない。現に国際結婚における夫婦別氏には誰も反対していない。
問題は、この原則を破壊しようとしていることにある。
それだと「名字は家の名前」と言う原則が崩れ、全ての国民が「家名」を失うからだ。
男尊女卑な親に忖度するためだけに、全国民から家名を奪う。これを「八つ当たり」と言う。
このことも以前、記事に書いた。
なお、「戸籍婚における選択的夫婦別氏」推進派は、「同一戸籍同氏の原則」を維持する「婚姻制度選択制」を明確に否定している。
結局、彼らは家庭解体そのものが目的なのである。
残念ながら、Tomokaさんの記事はその確信を深めるだけに終わった。