「氏名」による戸籍制度は日本だけ――「選択的夫婦別姓」議論に海外の例は参考にならない
選択的夫婦別姓推進派は「夫婦別氏」とすべきところを「夫婦別姓」と表記していますが、もしかしたら意図的なものなのかもしれません。
婚姻届を始め、公的な書類には「氏名」欄はあっても「姓名」欄はありません。
これ、実は日本だけの特殊なものです。
現在、世界で戸籍制度のある国は日本と中国だけです。そもそも家族単位で国民を登録する制度自体が、ドイツを始め一部の国に限定されています。
そして、中国は「姓名」による戸籍であり、こちらは夫婦別姓が原則です。
中国が夫婦別姓なのは「原則、改姓禁止」の伝統があるからです。
これはあくまでも「原則」であって、例外が無い訳ではありません。有名な例では、劉備が劉封を養子にした例があります。劉封の本当の姓は冠でしたので、劉備は後世の史家から「姓の違うものを養子にするとはケシカラン!」と非難されています。
要するに、改姓をしないようにするのが、中国ではマナーだと思われていたわけです。
ただ、こうした厳格さも明代以降は緩和されてきましたが、それでも改姓は「例外的なこと」と思われていたようです。
一方、日本では「改姓」の例も多かった上に、中世になり戸籍制度が形骸化すると「姓名」を記すのは朝廷の公的な書類だけになったりしました。
代わりに「家名(名字)」を使ったわけです。これが今の「氏」の起源であり、家制度の確立とともに夫婦同氏の伝統も生まれてきました。
明治維新以降、戸籍が「姓名」型から「氏名」型へと変化されます。
結果、日本は世界で唯一の夫婦同氏と言うか・・・戸籍制度で氏名制度を採用している世界で唯一の国となったわけです。
と言う訳で、選択的夫婦別姓の議論に海外の例は全く参考にならないことが、お判りいただけたと思います。
以前も述べましたが、現行の夫婦同氏制度自体は「男女平等」です。
こういうと「利便性」を理由に選択的夫婦別氏を主張される方もいます。
これが、戸籍制度自体を廃止して選択的夫婦別氏を実現するならば、一応、筋は通っています。実際、そう主張している人はいます。
利便性云々を言うならば戸籍制度自体、住民票と役割が重複して不便ですからね。
無論、私は戸籍制度廃止には反対です。家系調査には便利ですしね。
ならば、戸籍婚以外の婚姻の選択肢を認めればよいのです。これなら誰も反対しません。
ところが、選択的夫婦別姓推進派は、あくまでも戸籍婚での夫婦別姓を推進する。要は、戸籍制度と戸籍廃止論の良いとこどりをしたいわけです。これは単なる我儘ですよね。
ということで、選択的夫婦別姓推進派の嘘に騙されないようにしてください。
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