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「菅直人政権による検察介入」を隠蔽した安倍政権―― #尖閣諸島中国漁船衝突事件 での前原誠司先生の証言で忘れてはならないこと

 やっと。やっと、この日が来た。

 遅かった。遅すぎたけど、真相を明かしてくれた、前原誠司先生には感謝しかない。

 しかし、忘れてはならない。菅直人政権の罪を、安倍政権が隠蔽したことに。

懐かしい尖閣諸島中国漁船衝突事件

 尖閣諸島中国漁船衝突事件とは、何か。

 私が中学生の頃の事件である。記憶が定かでない方もおられるであろう。

 一言でいうと、尖閣諸島の領海に中国漁船が不法侵入してきた。海上保安庁が挟み撃ちにして捕獲しようとすると、中国漁船は海上保安船に体当たりして逃げようとしたものの、結局公務執行妨害で逮捕される。

 これが事件のあらましだが、日本はこれまで尖閣諸島周辺でこの種の事件が起きても穏便に済ませていたものの、当時海上保安庁を管轄していた国土交通大臣の前原誠司先生は、強硬策に出ようとしたため外交問題となった。

(国土交通大臣は「公明党の指定席」と呼ばれるほど公明党と癒着しており、その外局である海上保安庁も公明党を中心とする親中派の意向に反することは出来なかったが、皮肉にも民主党政権になって自由度が増した形になる。)

 だが、その頃の総理大臣は、菅直人首相。

 彼はただ単に、事実上の党内最大派閥であった小沢一郎グループを牽制するために、前原誠司先生を要職につけたに過ぎない。前原グループを実質的に支配していた仙谷由人官房長官(当時)も親中派だ。

 結果的に、検察は「政治判断」で中国人船長を釈放するという暴挙に出た。

 検察官に政治判断などできるはずがなく(仮にしていたらこの国の刑事司法を揺るがす大問題だ)、菅政権の指示があることは、明白。

 何しろ、菅直人政権下では政敵の小沢一郎先生は「土地購入時期の報告がズレていた」と言う理由だけで強制起訴、対して菅直人元首相自身は「平壌政府」系拉致容疑者組織に違法献金をしていても不起訴と、検察の公平性には誰もが疑問を抱いていた。

菅義偉官房長官「承知せず」

 今回、前原誠司先生がようやく、船長釈放が菅元首相の指示だと認めた。

 やっと、だ。やっと認めてくれた。

 感慨深いことである。これでやっと、一区切りついた気分だ。

 さて、カンとスガと訓みは異なるが、同じ漢字の名字で総理になろうとしている菅義偉官房長官だが、案の定、ノーコメントだった。

 ここで「案の定」と書いたのには、理由がある。

 実は、これまで菅直人元首相を庇ってきたのが、他ならない安倍政権であったからだ。

 世間一般では、どうも菅政権と安倍政権の政治は正反対であるかのように思われているらしい。

 だが、それは違う。

安倍政権は「検察による判断である」と閣議決定

 尖閣諸島中国漁船衝突事件での不手際を批判していたのが、当時野党であった自民党だ。

 しかし、自民党は政権を握ると態度一変させる。

 菅政権の不手際を非難するどころか、逆に、隠蔽したのである。

 平成二十五年十月三十日に、次のような質問主意書が提出された。

「衝突事件」に関連し、中国漁船の船長を釈放するに至った経緯について、当時の菅直人内閣においては、「御指摘の事件の被疑者を釈放するとの方針は、検察当局において、法と証拠に基づいて決定されたものと承知しており、当該方針の決定に関して、関係省庁との折衝及び協議が行われたことはない。」との答弁がなされている(内閣衆質一七六第七号)。安倍内閣として、右答弁は真実を正しく反映したものであると認識しているか。

 もしも、安倍政権が本当に愛国政権であるならば、また、菅政権の不正を糺す意図があるならば、「(菅政権の)答弁は真実を正しく反映したものでは、ない」と回答するべきであった。

 しかし、安倍政権の対応は、その真逆だ。閣議決定された回答文には、次のようにあった。

御指摘の事件の被疑者を釈放するとの方針は、検察当局において、法と証拠に基づいて決定されたものであり、当該方針の決定に関して、関係省庁との折衝及び協議が行われたことはないと承知している。

 菅政権による検察介入への、全面否定である。

 この時点で、安倍政権の正体は決まったと言ってよい。私はこの頃から、安倍政権は左翼政権だと言い続けてきた。

 奇しくも、安倍政権の退陣が決まった後で、真相が明かされた。

 もう、遅い。騙された人達には、深い反省を求める次第である。

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