「あさま山荘1972・上」
元・連合赤軍のナンバー3、現在、東京拘置所収監の確定死刑囚、坂口弘氏の著書。上巻。
学生の頃にも読んだけど、また読みたくなってAmazonで古本ゲット。
共産主義者同盟赤軍派と日本共産党(革命左派)神奈川県委員会(京浜安保共闘)が一緒になって統一赤軍(後の連合赤軍)になるまでの、坂口氏自身の左翼運動の記録。山にこもってリンチ殺人を起こし、あさま山荘に籠城するまでの前哨戦だな。
後半、バセドウ病を患ったナンバー2の永田洋子と事実上の婚姻関係となるわけだが、彼女の激昂しやすい不安定な性格やリーダーとしての自覚の無さ、すぐに気分が悪くなる身体の弱さなど、ちょこちょこ彼女に対する不満・批判が出てくるけど、坂口氏自身も、「止めるべきだと思ったけど言えなかった」など、都合の良い(?)意志の弱さが目立つ。
しかし、“共産主義化”された平等な世界を目指すために、少ない人数での党の段階で、すでに誰が指導者になるかなどのヘゲモニー争いを起こし分裂して、花火を上げるみたいな爆弾闘争で勝利を勝ち取ったとか、闘争に向けて何時間も討論を重ねたとか、公安のスパイを摘発したとか…なんだかなぁって感じだ。
誰もが差別なく平等に幸せになれる社会を目指して革命を起こすことは立派かもしれないが、こうした左翼の活動家は基本的に人間の本質、欲望を理解してないと思う。
いくら立派なイデオロギーでも人間の本質を変えることはできないよ。イデオロギーで人間性を無理矢理、覆い隠した結果が、思いっきり残酷な人間性の発散、リンチ殺人に至ったわけだし。
多分、多くの人が大なり小なり欲望を発散できる資本主義が一番、人間には合ってるのではないか。
坂口氏も、「刑務所に入る前に女性を抱きたいとの願望が募り、やがて永田洋子さんと一緒に生活することになった」と欲のままを書いてるし。
上巻は、運動上で初めての、脱落者となった同志2人の殺害、印旛沼事件で終わる。
連合赤軍関連の本にある彼らの思想や闘争の内容なんかどうでもよいし、何の役にも立たない。それよりも、学ぶべきは、極限における人間性の発露の恐ろしさと、平等という理想を目指した社会こそ本来の人間性から乖離していくということだ。
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