「アドルフ」
19世紀フランスの作家、バンジャマン・コンスタンの自伝的恋愛小説である代表作。
揺れ動く女心ならぬ男心であるが、主人公アドルフ24歳が年上の30代ブルジョワ未人エレノールに激しく恋をして、彼女を獲得した後は、倦怠諸々から夫人が疎ましくなって、別れを望むが、なかなか断ち切れぬ関係にもがき苦しんで、アドルフが別れを望んでいることを知ったエレノールはショックで病に伏して死んでしまうといった話だ。
「恋の魅力よ、誰が御身を描くことができよう!自然が我々にあてがっていてくれた存在を見つけたというあの確信!生活の上に拡がり、その神秘を我々に説き明かしてくれるかに見えるあの突然の光!何でもない事情にも結び付けられるあの知られざる価値!かえってその楽しさのゆえに細かな点はすべて忘れられ、ただ我々の魂に長い幸福の思い出ばかりを残すあの早くも過ぎゆく時間!時としてゆえもなく普段の感動にまじるあの気違いじみた陽気さ!愛する人と共にいる時のあの嬉しさ!また愛する人と離れている時のあの希望!つまらない世俗の心労からのあの解脱!我々をめぐる物みなへのあの優越感!我々にいる地点ではもはや世間は我々に一指も染めることはできぬというあの確信!一つ一つの考えを見抜き一つ一つの感動に応えるあのお互いの理解!恋の魅力よ、たとい身をもって御身を感じた人も、御身を描き写すことはできまい」
ココまでいっときながら、ふとしたことがキッカケになって、サーッと潮が引くように冷めちゃうんだね。若い時は情熱に裏切られるってことはよくあるものだ。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。